国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

ランボルギーニ・ウラカン

パンデミックで世界中がこんな大変な時には、たまには心が温まるような話も良いと思って、この話題を見つけてきた。

今、各国でコロナ禍の感染者を救おうとして、医者や看護師が必死に戦っている。でも、人の命の救い方は様々だ。警察も人の命を救うために、ヘリコプターやクルマで臓器を緊急搬送するケースは意外に多い。イタリアからクルマ好きなら特に喜びそうなニュースがあったので、その様子をお伝えしよう。

先月、緊急の臓器移植を求めている患者がいると知ったイタリアの警察は、秘密兵器を使用した。それは、「ランボルギーニ・ウラカン」。610psを発揮するV10搭載のスーパーカーが登場したのだ。

レーサー並みの運転技術を持った警察官が、ドナーの腎臓を乗せたウラカンで、ヴェネツィア近くのパドバからローマまでの500kmをなんと2時間で爆走し、無事にデリバリー!それはつまり、新幹線で東京から新大阪まで走るのと同じ距離だけど、たった2時間で走行するとは、新幹線より速いと言うことになる。凄い!なんと平均速度は250km/h!!法定速度の130km/hで走った場合は、5時間以上かかるそうだ。

臓器を積み込む様子

ランボルギーニ本社から提供されたこのウラカンは、実は特別仕様車。お約束の屋根のライト、サイレン、そしてパトカーのカラーリングの他に、同車の「フランク」には臓器を数時間保全できる冷蔵庫が完備。ちなみに、フランクという意味は、フロント、つまりボンネットの下にトランクがあるので、フランクと呼ぶわけだ。その車内冷蔵庫がとても重要なフィーチャーだけど、この話を最初聞いた時、ふと疑問がよぎった。「ウラカンて、そんなスピードをずっと出しても給油しないで500kmも走れたか?」と。

速度を上げれば上げるほど、燃費が落ちるからね。腎臓を届けてから、イタリア警察はこの臓器輸送の動画をSNSに載せたけど、給油のことは触れていなかった。簡単に計算してみたけど、ウラカンには90リッターの燃料タンクがついており、200km/h以上の平均速度で走った場合の燃費は、およそ6km/Lなので、パドバからローマまでの500kmは満タンでギリギリ走行できたのだろう。

横から見たウラカン

しかし、もう一つの疑問は、なんでヘリコプターが使われなかったかということ。臓器移植のための緊急輸送は、通常の場合はヘリコプターが用意されるけど、話によると、ローマ市内のジェメッリ大学病院近辺にはヘリが着陸できるヘリポートがないそうだ。

日本の高速道路でも、警察がこんなハイスピードな走行をしているかというと、僕の知る限りでは「やっている」。オーストラリア大使館の友人から聞いた話では、警察のSP特別部隊が、東京都内から外国要人を羽田空港か成田空港への送迎をする場合、事前に高速道路から一般の車を完全にクリアしてから、特別車両のコンボイを使って平均速度170km/hで送り迎えをするらしい。しかし、ランボルギーニ・ウラカン並みのレクサスLFAや日産GT-Rは使わないけどね。

今回の警察官の爆走は、文字通り時間との競争だったが、レース並みの速度、満タンで500kmが完走できたことは、全世界の自動車ジャーナリストから見ると、このスーパーカー、ウラカンの威力を余すところなく披露する最高の舞台だった。ちなみに、この移植手術は無事に行われて、患者の命は救われたそうだ。

[訂正]本記事で触れております場所と臓器の表記について、事実と異なる点がありました。お詫びして、該当箇所を訂正いたします。

文=ピーター ライオン

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