経済・社会

2020.11.20 07:30

iPS細胞・山中教授を助けろ! 京都府と京都市が乗り出した「支援」の中身

2020年ブレークスルー賞の式典に出席した山中伸弥教授。夫人の知佳さんと。(2019年11月・カリフォルニア州マウンテンビュー)(Photo by Ian Tuttle/Getty Images for Breakthrough Prize)



京都府と京都市によるIPS細胞研究支援ふるさと納税プロジェクト記者会見にて(10月28日・京都市)。左から門川大作京都市長、西脇隆俊京都府知事、山中伸弥iPS細胞研究財団理事長(オンライン参加)、川村憲一トラストバンク代表取締役。
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今回京都府と京都市が寄付を募集する、iPS財団への支援プロジェクトの目標金額はそれぞれ2200万円と1500万円。府も市も、iPS細胞技術を活かした再生医療等の推進と関連する産業の振興というメインテーマだけでなく、AI・IoT等を活かした医療等(府)や、ライフサイエンス(市)に関連する中小企業等支援というサブテーマが設定されている。

京都府の場合、目標通り2200万円が集まった場合、iPS財団に1500万円、京都スマートシティ振興協議会に700万円が交付される。府も市も、募集ウェブサイトにおいて、目標金額を達成できなかった場合でも支援を行い、目標金額以上の寄付が集まった場合もこの事業に活用される旨を明記している。

今回の寄付の募集期間は府も市もともに来年1月31日(日)まで。詳細な支援対象の活動内容や、寄付申込先についてはふるさと納税プラットフォーム「ふるさとチョイス」の特設ページを参照されたい。(京都府はこちら、京都市はこちら
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iPS細胞を活用した医療の開発と普及といった、最先端の研究に対して国がいかに資金を手厚く支援していくかについては議論と検討の余地が大いに残されているが、まずは地方自治体や市民レベルでの寄付が容易になるチャンネルが増えたことはとりあえず喜びたい。

参考文献(読書案内)


・山中伸弥『走り続ける力』毎日新聞出版、2018年

直筆コラム、対談、インタビュー、評伝で立体的に山中教授の研究と人生を浮かび上がらせる。話題は多岐にわたっているが、新聞連載がベースなので読みやすい。なぜマラソンに挑戦を続けるのかなど、山中教授の肉声が感じられる。

・上坂和美『折れない心で希望をつなぐ! iPS細胞を発見! 山中伸弥物語』PHP研究所、2017年

小学生から理解できる、山中教授の伝記。シンプルな筆致だからこそ、海外と日本の研究環境の差が強調される。

・山中伸弥(監修)、京都大学iPS細胞研究所(編著)『iPS細胞の世界 未来を拓く最先端生命科学』日刊工業新聞社、2013年

一般の人にも研究内容を開いていく科学コミュニケーション重視の姿勢から、研究の背景、医療での応用と専門的な内容にまで立ち入って解説。ノーベル賞受賞当日のドキュメントも。

文=縄田陽介

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