経済・社会

2020.11.20 07:30

iPS細胞・山中教授を助けろ! 京都府と京都市が乗り出した「支援」の中身

2020年ブレークスルー賞の式典に出席した山中伸弥教授。夫人の知佳さんと。(2019年11月・カリフォルニア州マウンテンビュー)(Photo by Ian Tuttle/Getty Images for Breakthrough Prize)


今回、京都府と京都市が設定したクラウドファンディング型のふるさと納税について少し説明しよう。
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ふるさと納税は、ある地方自治体へ寄付すると、国に納める所得税と、住民票を置いている自治体に納める住民税から一定限度までその寄付金に応じた金額が控除(引かれる)される制度だ。

つまり、ふるさと納税とは「税」ではなく「寄付金」なのだが、あたかも、自分の納めるはずだった国税や地方税の一部を、居住していない自治体へ選択的に納めているかのようであることから「納税」の名が付いている。

そして、「納税」の見返りとして、その自治体の名産などの返礼品が得られる。これがふるさと納税の人気を過熱させているのはご存じの通りだ。
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ただ、ふるさと納税には、ある自治体に対して用途・目的を指定せず全般的に使ってもらうように寄付するメニューがある一方、動物愛護や文化施設運営など、その人が特別関心を払っている課題や政策に限定し、目的を指定して寄付するメニューも用意されている。納税や自治体の予算について意識的に考え、自治体に何を望むかを自覚するきっかけにもなっている。

目的指定寄付の形を発展させた


クラウドファンディング型のふるさと納税は、こうした目的指定寄付の形を発展させたものと言える。クラウドファンディングのプラットフォームサイトの形式を借り、政策課題を解決する特定のプロジェクトへの寄付を、目標金額と募集期間も設定して募集する。

クラウドファンディングでは、目標金額を達成できなかった場合、プラットフォームによって寄付を受け取ることができない成功時実施型(オールオアナッシング)と、達成した金額を受け取ってプロジェクトを実行する実施確約型(オールイン)に対応が分かれるが、クラウドファンディング型のふるさと納税は、この分類でいくと実施確約型となる。

また、クラウドファンディング型のふるさと納税については、寄付する人の課題への思いを重視し、そのプロジェクトにのみ使われることが強調され、返礼品は用意されていない場合が多い。

そして、このクラウドファンディング型のふるさと納税と相性がいいということで、しばしば寄付の使用目的に設定されるのが、ある政策課題の解決に資する活動や事業を行っているNPO(非営利団体)や企業への支援だ。

自治体は注力したい政策を推進するためにNPOや企業に補助金や助成金を出すことがあるが、支援先の組織名と活動を公表・紹介したうえで、支援の原資そのものをふるさと納税として募ることで、ふるさと納税する人がその団体や企業に直接寄付したのと同じ効果を生むことができる。

寄付する側としても、寄付額に応じて税金が控除されるうえ、ふるさと納税のプラットフォームを通じて手間をかけずに寄付できるというメリットがある。
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文=縄田陽介

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