ビジネス

2020.11.10

アマゾンが最強であり続けるワケ

Photo by Ali Balikci/Anadolu Agency/Getty Images


このような環境で働いていると、次第に、個々人の才能や努力に依存する成長は持続性に乏しく、チームとしての安定した成果につながらないと考えるようになりました。個々のノルマ達成や社内の競争を煽るのではなく、ノウハウを共有し、組織全体で長期的な顧客価値を創出していく方が加速度的であり、継続した成長に繋がるのではないでしょうか。

余談ですが、私は以前、既存のルール(仕組み)に納得がいかず、勝手に行動を起こして怒られたことがあります。仮に仕組みに欠陥があり不十分だとしても、システムが出した結論と異なる行動を個別に起こすのではなく、仕組みそのものを改善・修正しなければいけません。

多民族国家であるアメリカでは、ルールがないと収拾がつかないこともあり、ルール作りや言語化に非常に長けています。また、ルールを作った後はそれを改善するか、さもなくばルールを守ることが大前提。不十分なルール・仕組みを黙認して、自分の考えやアクションで成果につなげようとすることは、傲慢でありアンフェアであるとみなされるのです。こういう基本的な姿勢を徹底しないと社会を維持できない、という側面があるのかもしれません。

翻って日本においては、阿吽の呼吸が存在し、同調圧力が強く、明文化されたルールがなくても概ねの共通認識がとれてしまいます。有事の際に秩序や調和を尊ぶことができる美徳がある一方で、仕組み作りが不得手であり、したたかさが求められるグローバルビジネスにおいては大きな損失になりかねません。言語化できていないと取り組みを拡大していくことも困難です。

本来、仕組み作り(メカニズム)は、部署異動などジョブローテーションが頻繁な日本企業にこそ有効なはずです。前任者が抜けた途端に事業が傾いたとか、担当者が蓄積したノウハウが引き継ぎに伴いゼロリセットされてしまった、などとならないようにしていきたいものです。

アマゾンには、仕組みを整え、実験を繰り返し、検証できれば、一気果敢にスケールさせる、というグローバルでの勝ちパターンができあがっています。日本の組織は個々の頑張りによる個別の成功事例を評価する傾向にありますが、強い組織をつくり、長期的かつグローバルに成果を挙げ続けるためには、「仕組み作り」を意識することが大きなブレークスルーにつながるのではないでしょうか。

連載:「Follow your Heart ─日本人が世界で勝つ方法─」
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文=竹崎孝二

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