──実際に使っている人たちからは、どのような声が届いていますか。
実は、最初はお財布にポイントが貯まるのが楽しくてアプリにハマっていたけど、お手伝いすることが習慣化して、途中から使わなくなったっていう人が多いんですよ。使い始めた当初は、ご褒美という安易な目的のためにお手伝いをしていたけど、そのうちプライドに火がついて、お金は関係なくなると。
なんだか成功した経営者みたいだなと思いました。最初は売上とか利益とかを追い求めるけど、あるラインを超えると、価値を求めるようになる。子供たちも同じなんですね。
──ピグっちを使っている人や、これから使いたいと思っている人に一言お願いします。
「お金」は、社会に出て避けて通ることはできません。重要なのは、お金そのものではなく、その価値を知ることだと思っています。
自分がほしいゲームがいくらするのか、例えばそれが3万円するとしたら、風呂掃除何回分なんだろう。そう考えることで、親がどれだけ働いて買ってくれたかを想像したり、お金の大切さを理解したりすることができると思うんです。
そして、子どもが主体性をもって工夫し、努力する中でお金について学ぶという機会を提供できるピグっちを、親子でお金の価値や仕組みについて話し合うきっかけにしてほしいと思っています。
沼田晶弘◎東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。1975年東京生まれ。東京学芸大学卒業後、米インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、同州マンシー市名誉市民賞を受賞。同大学職員などを経て、2006年から現職。児童の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が話題となる。教育関係のイベントを数多く企画するほか、企業向けのリーダーシップ、コーチングなどの講演も精力的に行っている。著書に、『One and Only〜自分史上最高になる』(東洋館出版)『自分で伸びる小学生の育て方』(KADOKAWA)など。