撮影や制作の過程で、写真という表現や、写真集という紙のメディアについて考えた。僕の活動が一部でジャーナリスティックだと言われたこともあり、ジャーナリズムについても考えさせられた。
カトレヤトウキョウ塩内浩二氏、編集者のKESIKI九法崇雄氏に続き、今回はジャーナリストの古田大輔氏に話を聞いた。
古田氏は朝日新聞記者を経て2015年にバズフィードジャパン創刊編集長に就任、その後独立してメディアコラボを設立、2020年秋にグーグルニュースラボのティーチングフェローに就任した。ファクトチェック・イニシアティブ理事、インターネットメディア協会理事などもつとめる。
古田氏が語る世界と国内のジャーナリズムの現在地、メディアの危機とその使命とは──。
──ジャーナリストとして、様々なメディアで横断的に活動されてきた中で、古田さんはメディアの変遷についてどのように捉えていますか。
メディアの仕事は簡単に言うと「情報伝達」です。デジタル時代になって何が変わったかというと、情報量です。インターネットにより、世に出回る情報量がそれ以前と比較にならないほど増えました。情報の欠乏から過剰へ。情報エコシステム自体が、10年前と全く違う環境になったと言えます。
そんな中でよく言われる事象として、コンテンツの「アンバンドル化」が進みました。それまでは一つのメディアとしてパッケージ化されていた新聞の記事や雑誌の特集が一つひとつ切り離されて、バラバラのコンテンツとしてネット上に漂うようになったのです。
かつては関連し合うコンテンツとして一塊のパッケージとして読んでいた情報がアンバンドル化され、さらにソーシャルメディアによって塊から完全に離れた「点」になってしまった。
コンテンツの作り手としては悔しいですよね。雑誌であれば最初から最後のページまでの文脈として見てほしいというのが作り手の思いとしてはあるし、情報消費者としても断片的な情報だけでなく、本来なら全体を通したメッセージも読み取れた方がいい。情報のアンバンドル化により、断片しか伝わらなくなり、受け取る人によって情報に対する認識の差が大きくなります。
だからこそ、そういった中で対話を成り立たせる共通理解の重要性が議論されています。一つ希望が持てるのは、ネットで長い記事や特集を読んでくれる人がいるということです。新聞は紙幅、テレビは尺の問題があり、情報量が少ない。しかし、ネットは自由な長さで表現できるし、それを読んでくれる人がいる。アンバンドル化されていても、十分な長さでまとまった情報を伝えられる。
情報消費の全体から見るとまだまだ少数派かもしれませんが、そういった方々がより多数になっていくためにプロとしてどうしていくべきか、僕も模索しています。