写真のミライ

CATTLEYA TOKYO(カトレヤトウキョウ)塩内浩二氏

静まりかえった夜、揃って営業自粛する飲食店、人のいなくなった夜の街に佇む静寂と覚悟。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発出された2020年4月、僕はフォトグラファーとしてこの事態を記録したいと、夢中でシャッターを切っていた。

あれから半年。クラウドファンディングで多くの方のご支援をいただき、当時撮影した写真を収めた写真集『Night Order』を上梓することができた。

一枚一枚撮影した写真を写真集という形にしていく過程で、写真や写真集という表現について否応なく考えさせられた。情報通信技術が発達し、誰もが気軽に写真を楽しめるようになった。写真という表現は今までになく、民主化されている。一方で、動画と比べると、静止画である写真は圧倒的に情報量としては劣る。果たして未来はあるのだろうか。

直線的に思考すると、情報量の多いものや接続が容易なものは利便性が高く、世界を飲み込んでしまうように感じられる。ただ、果たしてそうなのか? デジタルではなく、アナログであるからこそ、バーチャルではなく、リアルであるからこその魅力がある気がした。

あの人は今、何を考えているのだろう。各方面で活躍する有識者に話を聞いてみたいと思った。

初回は、クリエイティブコレクティブ「CATTLEYA TOKYO(カトレヤトウキョウ)」を率い、ラグジュアリーファッションブランド・音楽アーティストなどのアートディレクションやグラフィックデザイン、映像制作、空間演出などを手掛けながら、アーティストとしての顔も持つ塩内浩二氏に話を聞いた。

写真集『Night Order』のアートディレクションも手掛けてくれた塩内氏が考える、これからの表現とは──。

絵画、レコード、本、形あるモノからインプットを重ねた


──ご自身の原点や、これまでの活動について教えてください。

小学校の頃から名古屋の絵画教室にずっと通っていました。当時の将来の夢は「画家、デザイナー」。

中学2年の時に突如ブラックミュージックが好きになり、興味本位でターンテーブルを手に入れてDJ KRUSHさんの通信DJ講座に入会しスクラッチを真似したり、知人に教わったりしていました。

衝撃的だったのは音と音を繋げ組み合わせる「ミックス」という概念。レコードジャケットのデザインが音楽を翻訳しているように見えて、デザインと音楽が交差する雰囲気にどっぷり浸かるのがとても好きでした。

高校1年の頃、インターネットにつないでみたことはありますが、僕の場合は本の方が五感を揺さぶられました。地元で1軒だけ洋書を多く扱う本屋があり、そこからファッションとアート、デザイン、そしてカルチャーに没入し、一言一句追いかけていくようになったのです。カルチャー本を手に取っては読み漁り、裏原宿系と呼ばれたエイプ、アンダーカバーのようなブランドアイテムやデザイン本、レコードを収集しました。

クリエイターについても自然と知識が身につき、あまりにも影響を受けて高校2年の時にNYへ。雑誌で知ったグラフィティ集団のスタジオに訪問し、熱意を伝えたこともあります。

聞き手、写真=小田駿一、構成=林亜季

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