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2020.11.04 11:30

ジャック・マーの「世界最大のIPO」を中国政府が阻止した理由

Photo by Chesnot/Getty Images

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中国のアリババ傘下の金融会社「アント・グループ」は11月3日、香港と上海で計画していたIPOを延期すると発表した。同社の上場による調達額は350億ドル(約3.7兆円)に達し、世界最大のIPOになると期待されたが、アナリストは今後のアント・グループの成長が、政府の規制によって抑制されるかもしれないと述べている。

中国証券監督管理委員会(CSRC)のウェブサイトによると、アントの実質的な経営権を握るジャック・マーらは2日、中央銀行や中国人民銀行を交えた金融規制当局主催の合同会議に召集されたという。

話し合いの詳細は不明だが、アナリストらは、アントの急速な拡大に当局が懸念を高めていると見ている。

上海交通大学の朱寧教授は、「中国の金融システムは規制を強化し、リスクをコントロールする段階にある。アントの事業は、規制当局が求めるものと完全に一致していない可能性がある」と述べた。

アントは中国の銀行との提携を成長戦略の中心に据えており、貸金業者と協力して、リスク管理ソフトウェアを用いて与信を行ない、発生した利息収入の一定割合を自社の利益としている。

しかし、アントは自社の資金を直接、融資に提供しているわけではない。上場目論見書によると、今年6 月までにアントが与信を行った貸付額は1.7 兆元(約2540億ドル)に達していたが、貸付にあたり同社が負担したのは2%のみで、98%は提携先の銀行が引き受けていた。

上半期のアントの売上725億元のうち、約40%は貸し出し部門の手数料収入だった。そして、残りは月間アクティブユーザーが7億人を超える、アリペイの決済手数料だった。

しかし、中国の規制当局はここ最近、金融リスクを回避し、レバレッジ比率を管理するための対策を講じている。当局はマ−を召喚した日に、オンラインの小口融資業者を対象とした一連の規制案を発表した。そこでは、個人が借りられる金額に上限を設けるとともに、アントのようなプラットフォームが貸し出し資金の30%以上を負担することが提案されていた。
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編集=上田裕資

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