ジャック・マーの政府批判も原因か
「このルールが厳密に導入されれば、アントの融資ビジネスの規模は縮小する」と上海交通大学の朱教授は述べる。「当局に懸念を抱かせ、銀行が嫌悪するのは、アントグループが融資部門から収益を上げつつも、自らはリスクを負っていない点だ」さらに、もう一つの原因と考えられるのが、ジャック・マーの発言だ。マーは10月下旬に上海で開催されたカンファレンスで、金融当局がイノベーションを阻害していると批判した。「優れたイノベーションにとって、規制そのものは脅威ではない。しかし、時代遅れの規制は脅威になる。昨日のやり方で未来を規制してはいけない」と彼は話していた。
Kaiyuan Capitalの最高投資責任者のBrock Silversは、「アントのビジネスはまだ進化しており、今後は新たなスキームを取り入れるはずだ」と話した。別のアナリストは、規制当局によってアント・グループの上場が阻止されることは無いと述べつつも、「投資家はアント・グループの成長ポテンシャルについて再検討する必要がある」と警告した。
一方で、米国のサンフォード・C・バーンスタインのアナリストのケビン・クウェックは顧客向け資料で「規制リスクは、アント・グループにとって最大のリスク要因だ」と書いた。
「我々は、今回のニュースが上場にわずかなマイナス要因を与えるだけだとみなし、大半の投資家はアントの長期的な成長に楽観的であり続けるだろうと考えている。ただし、今後の規制強化を考慮に入れて、成長の前提を見直す投資家も居るだろう」と彼は続けた。