米カリフォルニア州サンノゼに拠点を置く同社は10月中旬、ユーザー会議「Zoomtopia」をバーチャルで開催。統合型の新商品をお披露目した。
動画会議は、社会現象からプラットフォームへと進化しつつある。だからこそ、投資家は慎重になるべきだ。
Zoomは、テック業界屈指のサクセスストーリーだ。第2四半期、同社の売り上げは前年同期比355%増を記録した。驚くことにこの成長は、第1四半期に記録した「前年同期比169%の売上増加」に続いてのものだ。
シンプルでエレガントな動画会議アプリは、パンデミックにうってつけの製品だった。多くの人が依然として在宅勤務を続けている。同僚やクラスメイト、友人や家族とバーチャルに会うことは日常に不可欠な要素となった。加えて、Zoomのユーザー体験は非常にシンプルで、誰でもあっという間に理解して配信を始められる。端的に言って、Zoomは便利なのだ。
こうした点について理解していないテック企業があまりに多い。プロダクトマネージャーは、顧客を囲い込もうとするあまり、しばしばシンプルさとオープンさの魅力を忘れてしまうのだ。
Zoomの抱える課題は、成長サイクルの次の段階で、どう顧客を確保するかだ。動画会議市場での地位をさらに固めるには、単なるアプリではなく、ハブになる必要がある。
ZD Netの以前の報道によれば、DTEN、Neat、Poly、Yealinkといったデバイスメーカーは、それぞれの動画会議ハードウェアにZoomのソフトウェアを導入し始めている。こうした統合の動きは、現在市場でトップシェアを誇る、シスコシステムズによる動画会議システムへの挑戦といえる。
ZD Netの報道によると、マイクロソフトも状況を注視している。マイクロソフトのTeamsは、企業クライアントをめぐってZoomと直接の競合関係にあり、デル、HP、レノボなどのハードウェアパートナーを自身のエコシステムに取り込んでいる。
Zoomtopiaでは、Zoom体験の核心に結びついた2つの新製品が発表された。
「OnZoom」は、イベントプラットフォームおよびマーケットプレイスであり、その中心には、大小を問わない企業や非営利団体がバーチャルイベントを開催し、支払いを受け付けるためのプラットフォームを提供するという発想がある。
現在のプロダクトページを見ると、小規模なヨガやフィットネスの講座が大半を占めているが、Zoom経営陣は、100~1000人が有料で参加する専門的なイベントの企画を視野に入れている。例えば、バーチャルコンサートやテックカンファレンス、チャリティーイベントなどもOnZoomで開催されるだろう。
OnZoomは準備が進められており、PayPalや主要クレジットカード会社を通じた支払いの受け付けを開始する予定だ。チャリティーへの寄付についてはPledgelingが利用できる。