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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

HARTi代表の吉田勇也

「感性が巡る経済を創る」をビジョンに掲げ、書道家・武田双雲をはじめとする多くの現代アーティストをコミュニティと科学的アプローチでプロデュースしている、HARTi代表、吉田勇也。

今年「30 UNDER 30 JAPAN」受賞者のひとりとして選出された彼に、世界40カ国を巡る中で気が付いたという世界で求められているアートの役割や、日本のアート市場の課題、今後の展望を聞いた。



規定路線から降り「感性」をビジネスに


──アート業界で起業をした経緯を教えてください。

元々は地元・広島の高齢化、人口衰退問題に取り組みたいと中央大学法学部で法律について学び、弁護士か政治家になろうとしていました。

しかし大学1年生の終わり頃から、「明日が必ず来るとは限らない」と強く考えるようになりました。自分が箱根旅行をした翌週に、同じ会社の箱根行きバスで大学生が10人以上亡くなる事故が起こったことがきっかけです。

それまでの18年間、いわゆる敷かれたレールの上を走る人生を送っていたのですが、自分がすべきことは、もっと「感性」や「0→1の能力」を活かした仕事なのではないかと気付いたことが、アート業界に足を踏み入れたきっかけです。

6歳から書道を続けていたこともあり、外国でパフォーマンス活動をしたり、友達と原宿で外国人向けの「書道バー」を開いたりと、アートはとても身近な存在で、自分で0から1を生み出す人にすごく憧れがありました。

そこで20歳くらいから様々な領域でご活躍する200名以上の大人の方々に会った中で、一番惹かれたのが「経営」という仕事。「人を動かす」「0から1を生み出す」「新しい未来を創る」というところに惹かれ、アート×ビジネスで起業をしました。

──社会におけるアートの役割を、どう考えていますか?

アートには幅広い表現、そして様々な解釈があります。そういう意味でダイバーシティな社会の発展において、アートは重要な役割を果たすと考えています。

私はこれまで、パレスチナなどの途上国も含めて世界40カ国ほどを周ったのですが、世界の本質的な課題を考えた時に、お金で解決できる物資的な課題は、もうそこまで多く残っていない。次のステップとして、いかにウェルビーイング(well-being=身体的、精神的、社会的に良好な状態)な人生を送れるか、が課題となっていると気付きました。

これはお金ではないアプローチが必要になりますが、アートならこの課題の解決策ができ得ると考えています。例えばロンドンでは「市民の福利厚生」としてほとんどの美術館の入館料が無料だったりしますが、「社会のインフラとしてのアート」という発想には、僕もとても共感しています。

写真=木下智央 構成=黄孟志

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