──ドローン業界の現状、今後は。
千葉:有人観光飛行を実現する中国EHANG(イーハン)の米ナスダック上場、日本でも我々の投資先である自律制御システム研究所(ACSL)が東証マザーズに上場するなど実績がではじめている。市場セクターとしてまだこれからだが、ドローン世界最大手の中国DJIをはじめ3年以内に世界で10社程度のIPOが行われるのではと予測している。投資先も、ここ1〜2年でIPO準備しているスタートアップもある。
2019年版ドローン関連企業のカオスマップ(作成・提供:DRONE INDUSTRY INSIGHTS)
最近では、米アマゾン・ドット・コムが、米連邦航空局(FAA)からドローンを使用した配送サービスの商用化に必要な認可を受けたことが大きな話題となった。さらに、2019年版のドローン関連企業のカオスマップからもわかるように、スタートアップの企業数は増加している。自動車産業のように、ハードウェアに加え、部品メーカーやデータアナリティクス、ソフトウェア、メンテナンス、保険、そして、ドローン・アズ・ア・サービス(DaaS)の領域など、多様な領域に広がりを見せている。
国内に特化すると、無人ドローンは農業・点検分野で日常的に使用されている。有人試験飛行の領域でも、国内で初めて実現したスカイドライブやALIテクノロジーズなど他を牽引する企業が出てきている。とはいえ、市場全体で見ると、1%程度の普及率だともいえ、これからさらに普及が進むだろう。実際に、国内主要大企業のドローン業界への投資が進み、機運が盛り上がっている。
── NTTドコモ、ソフトバンクといったLP出資先も強みだ。
大前:2号ファンドのKDDI、今回のNTTドコモ、ソフトバンクを含め、大手3通信事業者3社すべてから資金調達したことになる。我々が掲げている「ドローン前提」時代の実現を見据えて、理想的な座組ができている。
現在、次世代通信規格「5G」は都市向けにとどまっている。山間部でも使用できるようにするには、通信キャリアとともに解決策をつくっていく必要がある。ドローンをはじめとした、ロボッティクスをつなぎネットワークによる社会維持システムを構築するなかで、現在が大きな転換期だという認識があり、参画いただけたのではないか。
千葉:カオスマップにある領域、産業の将来性のある企業へ投資し、「ドローンファンド・ファミリー」でサプライチェーンを構築し、市場シェアを獲得していくことも考えている。我々自身がグループ企業経営を目指すスタートアップみたいなものだ。投資先の横連携や、業務提携を促進していくことが、他のベンチャーキャピタルにはない特徴だろう。