以下に書くことに、杉田議員の問題発言を弁護する意図は全くない。彼女はその発言により、どれだけ多くの性暴力という犯罪の被害者に二次被害を与えて傷つけただろう。その責任は重く、代議士を辞任しても償いきれないほど多くの被害者に精神的苦痛を負わせた。
ただ、辞職してもらうだけでは、根源にある問題は解決しない。逆に、彼女が辞職に追い込まれるのを、自民党の中で彼女が目障りだと思っていた男性議員たちは手ぐすね引いて待っているだろう。それも、自分の手を汚さなくても、彼女の発言に怒った女性たちがやってくれるなら、そんな都合のよいことはない。
この動きをもって「女の敵は女」と印象づけることで、女でありながら男社会で生き抜こうとする杉田議員や野田議員のような女性を男性議員たちは利用し、もともとの根源にある性差別から目をそらせるようにしているのだ。
それでは、女性のエンパワメントを喜ばない人たちの思うつぼである。そうやってジェンダー指数最下位に近い日本のシステム化された性差別がいつまでも継続される。女性の議員数が全く伸びない状況や、男性だからというだけで就職が有利だったり、同じ仕事をしている女性より給料が高かったりする労働環境を存続させないように、私たちは男性議員の発言にもきちんと目を向け、同じように責任を取らせるように抗議する必要があるだろう。
連載:社会的マイノリティの眼差し
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