Arrivalは、4600万ドル(約48億円)を投じてサウスカロライナ州ロックヒルに生産拠点を設立する。稼働開始は来年後半で、240人を雇用する予定だ。同社は、6月に路線バスのデザインを公表しているが、その内装は地下鉄車両を連想させる。同社によると、従来より軽量で小型のバッテリーパックや、低コストの資材と組み立てプロセスを採用することで、競合他社に比べて低コストで生産が可能だという。
今回設立するマイクロファクトリーは、Arrivalにとって初の米国工場だ。「これは、EV業界におけるパラダイムシフトの始まりだ」と同社の北米事業のCEOを務めるMike Abelsonは話す。Abelsonは、GMでEV戦略を統括した経歴を持つ。
Arrivalは、Denis Sverdlovによって2015年にロンドンで設立された。Sverdlovは、ロシアの通信事業者「Yota」の創業者でもあり、2012年に同社を売却して莫大な富を築いた。ゼロエミッション・カーに対するニーズが高まる中、ArrivalはEVトラックやEVバスのトップメーカーになることを目指している。
同社製の商用トラックは、軽油やガソリンで駆動する従来のトラックと価格が同等なため、助成金なしでも十分販売できるという。Arrivalは、車両のフレームにはアルミニウムなどの軽量な素材を、ボディパネルには自社開発した複合材料を用いることで製造コストを下げている。
マイクロファクトリーには、高コストな金属プレス加工や溶接、塗装工場などはなく、固定の組み立てラインも存在しない。代わりに、押し出し加工をしたアルミニウム部品で組み立てられた平らなスケートボード型シャシーの上に、航空宇宙産業向け接着剤を使ってボディパネルを配置している。
車両の色付けは塗装ではなく、複合材料への着色やカーラッピングによって行っている。マイクロファクトリー内では、自律走行する車両がボディのパーツを組立セルまで運んでいる。Arrivalは、英国バンベリーにあるR&D施設の近くに第1号のマイクロファクトリーを建設し、組み立てプロセスの微調整を行っている。