ビジネス

2020.10.13

コロナ危機中にクライアントの90%を切るべき理由

Surut Wattanamaetee/EyeEm / Getty Images

クライアントとなる人々は、平等ではなく公正に扱うべきであり、特に新型コロナウイルス流行を受けた厳しい経済状況では多くのクライアントを手放す必要がある──。こう話すのは、ペンシルベニア大学ウォートン校出身で、テクノロジー業界で25年以上の経験があるマーティン・ジェイコブズだ。ジェイコブズは家族経営の企業から、アヴネットやテキサス・インスツルメンツといったフォーチュン500企業まで、さまざまな企業で働いてきた。

新型コロナウイルスと景気後退の長期化への不安から、今はどんなクライアントでもとにかく確保したいと思う人は多い。だがジェイコブズは、自分にとって最も有益な顧客を優先するアプローチを推奨している。「歴史に残る前代未聞の時期である今は、ビジネススクールでは教えてくれなかったような戦略が必要だ。生き残るためには、直感に反するように思える行動を起こすことが必要になる」

以下に、コロナ禍の経済を単に切り抜けるだけでなく、そこから大きく飛躍するためにジェイコブズが提唱する3つの原則を紹介する。

1. 万人に素晴らしいサービスを提供すると、事業が破綻する


「あなたのビジネスが、素晴らしい顧客サービスを豪語し、『顧客は全員が満足しています』などと主張しているようであれば、この新世界の経済を生き抜けないだろう。全ての顧客に対してレベルの高いサービスを提供するのは、実は自分のビジネスにとって最悪のことであり、倒産の危険性を高める。各顧客からのリターンに応じて力の入れ具合を変えることが重要だ」

2. 小口受注は制限する


「利益の90%が一部の優良顧客から得られているのであれば、それ以外の顧客を追い求めると利益とエネルギーを希薄化することになる。皆を幸せにしようとすれば、生産性が落ち、営業担当を疲弊させ、最大の顧客を失う危険性すらある。優良顧客は、自分を優遇してくれる取引先へと流れていくものだ。小口の顧客からの全ての注文に対応していると、優良顧客へ向けるべきリソースがなくなってしまう」

「従って、小口顧客から純粋な利益を上げられるようなビジネスモデルを探すべきだ。コミッションと引き換えにあなたの会社の製品を売ってくれる会社はたくさんあるはず。取引先に支払うコミッションは自社の利益を削ることになるが、他の全てのマイナス要因を除去できる」
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編集=遠藤宗生

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