1. 事故の防止
世界では毎年、135万人が自動車関連の事故で亡くなり、その半分以上は歩行者や自転車・バイクの運転者といった「交通弱者」だ。
自動運転車の利用が広まる中、誰もが安全に道路を使用できるようにすることについての懸念が高まっている。最近公開されたアプリ「!important」は、車やトラック、バス、自律走行車、建設機械、さらにはドローンなど、全ての認証されたコネクテッド・ビークルの事故リスク軽減を目指し開発された。
同アプリはAIを駆使し、歩行者や車椅子使用者、自転車・バイク運転者の携帯機器を通じてユーザーの周囲に仮想保護ゾーンを設定。付近にいる全ての自動運転車やコネクテッド・ビークルにユーザーの位置情報を送信して、自動車がセンサーから得る情報を補強し、ユーザーが確実に認識・追跡されるようにする。コネクテッド・ビークルがユーザーに接近し過ぎると、衝突が起きる前にブレーキが自動的に作動する仕組みだ。
2. 医療の改善
AIが人命救助に貢献する分野の中で、最も重要なものの一つが医療だ。医師や看護師はさまざまな訓練を受けるが、それでも全ての病気や症状を見つけることはできない。また、新型コロナウイルスの流行により、大量の重症患者を治療することの難しさが浮き彫りとなった。企業各社は現在、機械学習とAIによる解決策を模索し、見出している。
ヘルス・カタリスト(Health Catalyst)は、さまざまな臨床場面で命を救う技術として、「catalyst.ai」や「healthcare.ai」、医療分析プラットフォームを開発した。例えば、機械学習を使って再入院のリスクが高い患者を特定することで、医師による問題対処を促すことができる。この技術は、院内感染の予防や慢性疾患の予測、致死率の低減にも効果を発揮してきた。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、前線で働く医療従事者の多くが命を落としてきた。イスラエルのシェバ・メディカルセンターは第2波の到来に備え、患者だけではなく医師や看護師の命を救う「スマート病室」を試験している。同センターによれば、AI搭載ロボットや仮想現実(VR)メガネ、早期警告システムにより、新型コロナウイルス感染者治療の改善や、医療従事者側の安全性向上が実現できるという。