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Deirdre McDonough / Shutterstock.com

米国では現在も、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)によって多くの人が亡くなっており、死者数は20万人を超えている。本来なら、その大半の人はこれから先、何年も人生が続くはずだった。サウスフロリダ大学が行った研究によると、パンデミックで多くの米国人が早死にしたことで、「損失生存年数(years life lost: YLL)」は総計で約200万年にのぼったという。

2020年9月7日付けで公衆衛生学術誌「Journal of Public Health」に掲載されたこの研究によると、新型コロナウイルスに感染して死亡した米国人は、パンデミックが発生しなかったとしたら、平均であと10年ほど長生きできたという。

研究では、米国で7月11日までに亡くなった約13万人について分析している。そのために使われたのは、米社会保障局(SSA)が公表している、ジェンダーと年齢に基づく平均余命の情報と、米国勢調査局による人口情報だ。

この傾向がそのまま続いたと仮定した場合、米国では9月末現在の死者数が20万人を超えているので、損失生存年数の累計は200万年以上ということになる。

研究論文の著者トロイ・クワスト(Troy Quast)博士は、損失生存年数の推定値は控えめに見積もったものだと話す。同博士がタンパベイ・タイムズ紙に語ったところによると、新型コロナウイルスで死亡した人たちの既往症やその他の健康関連のリスク要因を考慮して、平均余命を25%減らして計算したという。

クワスト博士はタンパベイ・タイムズ紙で、自身の研究結果について、「(亡くなったのは、)人生の終わりに近づいている人たちばかりだったわけではないことを示している」と説明している。

一方、6月に環境と公衆衛生分野の学術誌「International Journal of Environmental Research and Public Health」に掲載された別の研究では、損失生存年数は、他国と比べて米国が大幅に多く、イタリアと比べると5倍であることが明らかになっている。

ジョンズ・ホプキンス大学によると、2020年10月5日(現地時間)現在、米国の新型コロナウイルス感染症による死亡者は20万9794人となっている。9月29日には、世界全体の死亡者数がついに100万人を超えた。

新型コロナウイルス感染症をめぐっては、米国はほかのどの国よりも大きな打撃を受けている。そして、過去数カ月に起きた死亡者の急増は防ぐことが可能だったと、多くの人が主張している。

春のあいだは、死亡者は米国北東部に集中した。ロックダウンなどの規制が実施される前に、ニューヨーク市など人口密度の高い都市部でウイルスが急激に広まったためだ。春の死亡者急増を受け、米国の大部分では外出禁止令が出されたが、おもに南部と西部の州は、公衆衛生当局からの警告にもかかわらず、夏に入るころにそうした規制を率先して解除。その結果、夏のあいだに新規感染者や入院患者、死亡者が急激に増加することとなった。そうした事態に直面したのはおもに、公衆衛生専門家が推奨するよりも速いペースで経済再開に踏み切った州だった。

米オンライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)に2020年9月17日付けで発表された別の研究では、パンデミックの影響で平均余命が全般的に短くなる可能性があることが判明している。ヨーロッパや北米など、もともと平均余命が長い国々で感染率が非常に高くなれば、平均余命が9年ほど短くなることも考えられるという。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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