それでは、ギャンブルとは何か。簡潔に言えば、「胴元がいるかどうか」ということが挙げられるのではなかろうか。例えば日本では、競馬や競輪、競艇などが公営競技として、公式に認められたギャンブルだ。また、宝くじやサッカーくじなどもギャンブルの範疇に入ると言えるだろう。
これらのギャンブルは、運営している組織(胴元)があり、賭け金の一部を利益として差し引いたうえで、残りの金額を結果に準じて配分している。つまり、これらのギャンブルは「マイナスサムゲーム」と呼ばれるように、お金を増やした人と減らした人の総和がマイナスになるようになっている。
ちなみに、AさんとBさんが100円ずつ出して、じゃんけんに勝った方が200円をもらう場合は、「ゼロサムゲーム」という。
投資のメリットは金銭だけではない
それでは株式投資はどうか。理論上、投資先の企業の業績が伸び続け、それに応じて株価も上昇し続ければ、投資家全員が儲かる可能性がある。もちろん、売買のタイミングなどによって損失が発生することもあるが、ギャンブルのようにマイナスサムゲームであるとは言い切れない。
また、上がるか下がるかという二者択一で投資先を選定しているようでは、それは丁半博打と何も変わらず、確かにギャンブルになってしまう。しかし投資とは、基本的に投資先の成長性などについて、経済や企業業績を分析したうえでお金を投じるものだ。
もちろん、前述の通り、調査や分析をしたからといって必ず投資がうまくいくわけではないが、それらの行為を通じて知識と経験が身に付く。実は投資のメリットは、金銭的なものだけではなく、これらの知識や経験を蓄積できることにもあるのだと筆者は考えている。
そして、投資を通じて得た知識や経験が、結果的に本業の仕事でも活かされることによって、収入が上がったり、詐欺に引っかからないようになることで資産を減らしたりしなくて済むなど、副次的にも金銭的なメリットをもたらしてくれるのだ。
ただし、ギャンブルからも学ぶことはあるとも考えられる。ギャンブルで人生が滅茶苦茶になってしまう人も多いため、決してギャンブルを勧めるわけではないが、ギャンブルでも調査や分析、そして自身のメンタル管理などが重要になることは多く、これらは実は投資でも非常に重要な素養となる。
例えば、先程ギャンブルの例として挙げた競馬は、どの馬に賭けるかについて、これまでのレースの実績やその馬の両親や祖父母の血統、コースとの相性や天候別の成績など、非常に多くのデータを基に分析をしていく。また、最初のレースからずっと外れていると、終盤で一発逆転を狙いに行く人が増えるそうだが、いかに冷静にいられるかというようなメンタル管理も重要となる。
これらは、全て投資でも重要になってくることだから、投資家のなかにギャンブルが好きという人が少なくない理由も分かる。
とはいえ、投資はギャンブルとは違う。投資は必ず成功するわけではないが、先入観で食わず嫌いをせずに、知識を身に付けながら少額から経験を積んでいくのもよいのではないだろうか。
連載:0歳からの「お金の話」
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