しかし、「あっ、財布を出すのを忘れた!」と後から気づき、もう一度開けて再度お金を払ったという、苦い経験をしたことはないだろうか? そうでなくても、コインロッカーに入れた荷物を途中で出したくなったり、反対に入れたくなったりした経験をしたことがある人は多いだろう。
こうした「コインロッカーあるある」を解消する画期的なアイデアが札幌駅構内で見つかり、話題となった。
コインロッカーに「小窓」が付いている理由
札幌駅構内の一部のコインロッカーにあったこれ(サービスドア)、すごくいい。 pic.twitter.com/p47x3y5lMz
— もんじろう@ゲムマ秋両日出展 (@saikikaku1) August 23, 2020
この話題となったツイートに取り上げられたコインロッカーは、札幌駅構内で撮影された。通常の扉の中央にもう一つ、鍵で開閉できる小さな扉が付いており、追加料金を払うことなく、スマートフォンや財布などの小物類を何度でも出し入れすることができる。
この小さな扉が斜めであるのにも理由がある。扉にバネなどを付けずに斜めに設計することで、解錠すると重力で開きっぱなしとなり、「閉め忘れを防ぐことができる」という工夫だ。
40年前のアイデアを再び
この「ありそうでなかった」コインロッカーを開発し特許を取得した、日本自動保管機の代表、松崎幹氏は、「40年ほど前から『小窓付きコインロッカー』の開発構想はあった」と話す。
しかし、当時の技術力ではシリンダー(鍵穴の円筒)部分の構造開発が難しく、商品化の実現には至らなかったという。
今から2年ほど前、他社製商品である「一定時間内であれば何度でも物を出し入れできる」コインロッカーが廃番となったことで、ユーザーから同じような商品はないかとの要望を受けたことをきっかけに当時のアイデアを再考し、実現したのが「小窓付きコインロッカー」だった。
現在は、全国各地のプールやスキー場などに1500個ほど導入されている。泳いだり滑ったりしている最中は財布やスマートフォンを預けておき、休憩の際に、また無料でそれらを出し入れすることができるため非常に便利だ。
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