私たちは「情報革命」の時代に生きている
デジタルシフトにより私たちの生活はすでに大きな変貌を遂げている。しかし、実はその「革命」は始まったばかりなのだ。
歴史を振り返ってみると、人類は2つの大きな革命を経験してきた。
1つ目の革命は紀元前に起こった「農業革命」だ。これによって人類は定住し、安定的に食料を得ることが可能となった。2つ目の革命は18世紀に起こった「産業革命」だ。これによって人類は生活の様々な面を機械化し、大量生産を可能にして、遠方へと移動することもできるようになった。
そして現在、私たちは3つ目の革命である「情報革命」の最中にいる。これによって人類はインターネットで繋がり「情報」の共有ができるようになりつつある。農業革命や産業革命が、長い年月をかけて私たちの社会生活を変化させてきたことを考えると、私たちが現代において経験している「情報革命」も、まだまだその革命の最中であると考えるべきだろう。
農業革命や産業革命に対応できなかった人々が衰退したのと同じように、情報革命の現在、この流れに対応できない企業は衰退していくことになる。今後そうならないように、世界中の人・企業が本格的にデジタルシフトに取り組むことになるだろう。そのような節目に、私たちは生きていると考えるべきなのだ。
「デジタルシフト」に対応して成長したウォルマート
私の著書『アマゾンエフェクト!「究極の顧客戦略」に日本企業はどう立ち向かうか』(プレジデント社)の中でも指摘したように、ウォルマートは「デジタルシフト」に対応することで成長を遂げた企業の好例だ。アマゾンの躍進により、米国の小売業が打撃を受けはじめ、トイザらスやメーシーズのように破産へと追い込まれた企業もある中で、逆に社内の大変革を始めたことで、ウォルマートは新たな成長を達成している。
EC部門で大きな成長を遂げるウォルマート。アマゾンに真っ向から勝負を挑んだ(Getty Images)
当時のマスコミの論調は、ウォルマートがネット分野で成長し、アマゾンと真っ向から勝負することにあまり期待をしていなかった。ウォルマートが行なっている大変革はただの「金食い虫」だと揶揄する専門家もいたほどだ。しかし結果は、米国でも新型コロナが流行する中で、ウォルマートはアマゾンをも凌ぐ成長を遂げている。
デジタルシフトへの対応が成否を分けるということは、小売業はもちろん、全産業において言えることだ。国内でも新型コロナの流行によって、少なくない人々がその重要性に気がつき始めている。これからは、さらに多くの企業が変革を余儀なくされるだろう。
次回は、この新型コロナの影響によって加速している「デジタルシフト」について解説していく。
連載:デジタルで人生を豊かにする「デジタブルライフ」
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