・デジタル化により生まれる膨大な量のデータは、効果的に活用されれば、ビジネス、人類のウェルビーイング(幸福)、そして環境にチャンスをもたらします。
・新しいビジネスモデルとテクノロジーにより、組織は個人の権限とプライバシーを守りながら最高の価値を生み出すためにデータを活用できるようになります。
・世界経済フォーラムの報告書は、データビジネスの新しいパラダイムを促進し、精緻化するイノベーションについて強調しています。
新型コロナウイルスの感染拡大は、二重の危機を世界にもたらしました。私たちはいま、今世紀最大のグローバルヘルスへの打撃を受けると同時に、最大の経済ショックに直面しています。
これらの危機とともに訪れたのは、2つの重大な分岐点です。1つは、学校、仕事、健康、そして、家族や友人との連絡といったあらゆる場面で、私たちがデジタル技術の深い価値を実感したこと。2つ目は、おそらく達成が極めて困難と考えられている変化に対する意欲が、大幅に高まったことです。より公平かつレジリエントで、豊かな未来の構築を目指し、私たちが世界経済の基盤のリセットを急ぐ中、これらの2つの相互に関連した変数が作用し始めています。
ビジネスにおけるテクノロジーの活用は、経済および社会システムを再定義する上で重要な役割を担います。デジタル化により生まれる膨大な量のデータは、ビジネス、人間のウェルビーイング(幸福)、そして環境のための豊かな可能性をもたらします。
データの二面性
4月、中国政府は、データが、ビジネスモデル、産業の境界、市場構造を変化させている状況を鑑み、当局がデータを「新たな生産要素」として認識していることを公表しました。コミュニティ、個人、集団、複雑な自然の生態系、産業のバリューチェーンおよび材料を、より緻密にデータ主導で理解し、賢く活用するなら、ウェルビーイング(幸福)の新しい可能性を切り開いていくことができるでしょう。しかし、扱いが不適切であれば、データや分析により不平等が悪化する可能性もあります。前者は私たちが想像もできないメリットを、後者は私たちの想像通りの害悪をもたらします。
世界中のあらゆる規模の企業の未来は、データの効果的な活用にかかっています。しかし、多くの企業は、まずそのようなデータの効果的な活用における成熟度が低く、実践的な理解も不足していると感じています。データは価値の源ですが、企業の存続にかかわる風評リスク、責任、規制上の制約、企業秘密の源でもあります。さらに、価値と責任は、しばしば対極にあるものとみなされます。これらの課題は、イノベーションを妨げ、データ駆動型のイノベーションの実現を先送りにします。
しかし、いま、あらゆる分野や地域の企業が推進する、ビジネスモデルおよび技術力におけるイノベーションの新しい波が、このパラダイムを変えようとしています。