ビジネス

2020.09.07

H&Mが考えるコロナ後のファストファッション 鍵は持続可能性に

H&Mグループのサステナビリティー責任者、アンナ・ゲッダ(Photo by Ole Jensen/Getty Images for Copenhagen Fashion Summit)


──サステナビリティーの面では何を予測していますか?

ゲッダ:将来、当社の商品はさらにサステナブルになるが、同時に顧客が入手しやすい手頃な価格であり続ける。当社は、持続可能性を主流化し、サステナブルだが手ごろな価格の商品を多くの人に提供する賢い解決策を見つけることで事業を拡大することが重要だと考えている。

──これまで注目してきた持続可能性の取り組みの具体例は?

ゲッダ:今回の危機以前に始めた取り組みの一部は、コロナ以後にさらに重要になる。当社ではトレドラー(Treadler)と呼ばれる取り組みを通し、外部企業が当社のグローバルサプライチェーンを利用できるようにするサービスを始めた。

過去20年にわたり、サプライヤーやパートナー企業と協力して持続可能なサプライチェーンの創出に取り組んできた。目標が完全に達成できたわけではないが、多くの改善や投資をしてきた。今後はこれを拡大し、他企業がさらにこの変革に貢献できるようにしたい。当社がB2Bサービスを提供しているのはこれが理由であり、収入源の多様化も図ることができる。

もう一つの重要な取り組みは透明性だ。商品がどこで、どのように、誰によって作られたのかを明確にすることで、顧客は十分に情報を得た上で決断できるようになり、人や環境に対する責任を意識してデザイン・製造・取り扱いされているものだけを購入できるようになる。

──H&Mが循環性向上のために行うイノベーションへの投資について教えてください。

ゲッダ:当社は複数の持続可能性スタートアップに投資してきた。一つはツリートゥーテキスタイル(TreeToTextile)で、再生可能な森林の原材料を使い、セルロースを織物繊維として再生させる企業だ。

もう一つはウォーン・アゲーン(Worn Again)で、純粋・混合の綿・ポリエステル布地を分離させ、2つの異なる素材にリサイクルすることで再処理を可能にする画期的なリサイクル技術を開発した。

またリニューセル(Re:newcell)は、綿やビスコースなどセルロースをベースにした布地のリサイクル技術を開発し、布地生産向けの新たな繊維の生産に使用できる持続可能な布地パルプを作っている。

当社は今年初め、新たに特許を取得した素材であるサーキュロース(Circulose)を使用した「コンシャス・エクスクルーシブ(Conscious Exclusive)」のコレクションを発表した。これは、ケミカルリサイクル素材を使用した初の量産型衣類だ。
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編集=遠藤宗生

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