同様のパターンがドイツで行われた調査でも確認されており、高収入の人ほどテレワークをする機会が高いという結果が出ています。
スタンフォードの経済学者、ニコラス・ブルーム氏は、この傾向が「不平等の時限爆弾を生み出している」と考えています。
同氏は、大学との質疑応答で、在宅勤務の社会的影響に関する研究結果について説明しました。
5. 障がい者のアクセシビリティ
パンデミックの期間中、障がいのある人々の多くが不相応に大きな影響を受けました。
英国の調査によると、ロックダウンが開始されてから自立度が低下したと考える視覚障がい者が、全体の3分の2に上るということが明らかになりました。
さらに、英国において、新型コロナウイルスによる死者数の3分の2以上が障がい者です。
WHOは、障がいを持つ人々がパンデミック中に直面するリスクについても警告しています。障がい者は、通常よりも手厚いケアとサポートが必要とされるため、ソーシャルディスタンスを確保することが難しい場合があります。
必要不可欠なサービスが中断することもまた、障がい者を一層危険にさらすことになるのです。
しかし、これは何も今に始まったことではありません。「障がいのない人と比較すると、障がいのある人は健康状態が悪く、教育や仕事の機会へのアクセスが少なく、貧困率が高い」とWHOは説明しています。
例えば、ユーロスタットによると、基本的な活動が困難な人の雇用は、EU全体でも2人に1人以下となっています。
またパンデミックの影響で、障がいを持つ人々は、ヘルスケアなどの必要不可欠なサービスへのアクセスにおいて障壁に直面する可能性があります。重度精神障がいを持つ人々を対象とした調査についてWHOが報告していますが、先進国では35~50%、開発途上国では76~85%が前年に治療を受けていなかったことが明らかになりました。
新型コロナウイルスのパンデミックとコロナ対策で浮き彫りになったのが、このような既存の体系的な不平等とそれらに取り組む必要性です。
これを受けて、世界経済フォーラムのアップリンク・プラットホームは、新型コロナウイルス感染拡大への対応と復興の中で、社会的不平等や不正に取り組むアイデアや解決策を見つけるためのコンペ「新型コロナウイルス社会正義チャレンジ」を開始しました。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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