例を挙げると、少数民族集団は新型コロナウイルス感染拡大の影響を過度に受けていることが英国における初期の調査で確認されています。米国でも同じようなパターンが見られました。
国家間に存在する不平等に加えて、このような一国内における格差があるのです。例えば、結核による死亡者数の95%は開発途上国で発生しており、世界の平均寿命は、長い国と短い国とで34年も差があります。
非伝染性疾患(NCD)による早死にの87%は、低・中所得国で発生しています。そして、これらの国の多くでは、このような病気にかかる費用が人々を貧困に追い込み、開発を阻害し、健康問題を悪化させているのです。
3. デジタル格差
ロックダウンやソーシャルディスタンスの規制によって、何百万人もの労働者や学童が自宅待機となり、仕事や勉強を遠隔で行わざるを得なくなりました。
これによって、テクノロジーやインターネットへのアクセスに格差があることが浮き彫りになりました。
例えば、インドでは、インターネットにアクセスできない人々が人口の約50%(人数にすると6億人以上)に上ります。
アフリカ諸国の多くでは、この割合はもっと高くなります。これらの何百万人もの人々にとって、テレワークや遠隔教育はおとぎ話のようなものでしょう。インドの農村部の一部では、拡声器を使った授業が行われています。
また、同じ国の中でも大きな格差があります。例えば、米国では所得、年齢、人種による格差、さらに、都市部または農村部の違いにおける格差は根強く存在します。例えば、ピュー研究所によると、インターネットを使用していないと答える成人の割合は、都市部では9%であるのに対し、地方では15%となっています。一方、インターネットを使用していないと答える白人は8%ですが、黒人では15%です。
このような状況は、新型コロナウイルスの感染拡大によって悪化しています。パンデミックの最中に子供が「デジタル障壁」に直面するだろうと回答する親の割合が、高所得の親に比べて低所得の親の方が高かったのです。
4. 学歴やスキルによる収入差
大人の世界においても、国家間、また一国内においてデジタル・ディバイドが存在しています。データによると、在宅で仕事をする人の割合は、インターネット普及率と密接に関連していることが分かっています。
また、インターネットへのアクセスがよい国においても、自宅でのインターネット接続が不十分な場合、バーチャルなビデオ会議の新しい世界に対応するのが困難になります。
しかし、不平等な点はこれだけではありません。
オランダの調査によると、高学歴で高いスキルを有する労働者は、テレワークが可能な職業に就く可能性が高いとされています。
結果として、スキルの低い労働者ほど失業したり、労働時間が短縮されたりする可能性が高まります。