競合他社はビジネス上の競合とは違う
次に、競合他社のことを知ろう。ここでいう「競合」とは、ビジネスにおける競合とは異なり、より広い視点で捉える必要がある。
ターゲットの視点で考えると、もちろん「同業他社への転職」もあれば「職種は変えず、業界を変えてチャレンジしたい」という場合もある。
そこで、給与レンジや勤務地、募集職種といった条件面、あるいは知名度や一般的に用いられるカテゴリー(スタートアップ、外資、大手など)といった面から、「自社と比べられるのはどういった企業か」を考え、いくつかピックアップする。
そのうえで、抽出した企業の採用サイトや求人広告などをもとに、どういったメッセージを打ち出しているのか、どういった条件でどういった人材を求めているのかなどを分析する。企業毎にリスト化すると良いだろう。
最終的に、狙いたいターゲットが重複しそうな企業が競合になる。
フレームワークに当てはめてみる
自社、競合他社の特徴を洗い出したら、「自社のポジショニング」をどうすべきかを検討する。
書籍やWebサイトなどで解説が多く出ているため、ここでは詳しく触れないが、例えば「SWOT分析」「3C分析」といったマーケティングのフレームワークを用いて、相対的に見て自社はどういったポジショニングか(ポジショニングをするべきか)を考えよう。
またこのときに、ターゲットであるペルソナのことも忘れないことがポイントだ。単に競合とは違うポジショニングを目指しても、それが求職者に対して魅力的でなければ意味がない。
無理に脚色をせず、実情も踏まえた中で「ターゲットにとって、自社にしかない魅力は何か」を考え出すことが重要だ。場合によってはなかなか答えが出ない場合もあるが、このプロセスの先に見える一筋の光こそが、ここから先の採用施策の成否を左右する。
この作業は採用担当者1人で抱え込むのではなく、社内の別の部署の人間や、あるいは社外の専門家に知恵を借りることも大切だ。
3. ファネル別の課題と対策の洗い出し
ここから、ようやく具体的な施策の設計に入っていく。
この設計についてもAIDMAやAISASなど、色々な考え方があるが、この記事ではマーケティングにおける「セールスファネル」を採用活動に当てはめた考え方を紹介する。
そもそも、ファネルとは英語で「漏斗(じょうご)」という意味で、これは上の図でいう認知から入社までの過程で人数が徐々に減っていく様子が似ていることが用語の由来だ。
段階分けの仕方
上の図では、採用活動を認知・興味・応募・選考(内定)・入社の5段階に分けている。ただしこれは便宜的な分け方で、必ずしも同じような分け方にしなくてもよい。