【実践編】採用マーケティングのフレームワークと活用方法

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求める人材がどこにいるかを考える
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1. ターゲットの明確化


この段階のゴールは、「どのような人材に入社してほしいか」を定義することだ。

採用を考える経営陣や現場部門長などとの会話の中で無意識に用いられる「優秀な人材」という表現をブレイクダウンし、具体的な人物像として社内・部門内の共通認識にできるよう資料化する。

これを人事担当者にも馴染みのある言葉でいえば、「採用基準」づくりとも言い換えられる。

具体的には職能(スキル)、性格、行動特性などの観点で、会社や特定の部門に必要な項目をリスト化し、それぞれの項目の評価方法や優先順位を定義する。

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求める人材はどこにいるか?

採用基準を設計したあと、マーケティングという視点ではもう一つ忘れてはいけないことがある。それは、そうした人が「どこにいるか」を考えることだ。

あくまで採用基準は人材としての“要件”であって、人物そのものではない。

定義した要件を持った人は、どんな職場のどんな役職で働いていて、どんな生活をして何を考えているのか──。

こうしたことを仮説として考えることで、使うべきチャネルや、メッセージの出し方や言葉選び方なども、逆算するように自ずと見えてくる。マーケティングでいえばペルソナの設計だ。

なお、ペルソナは複数設計することは問題ない。ただし、施策に活用する意味では、最初はあまりここに凝りすぎず、運用できる範囲内で始めてみるのが現実的だ。採用活動に潤沢な人的(時間的)・資金的リソースを割ける場合は、最初に設計したペルソナを修正したり、モデル像を増やしていくことも良いだろう。

2. 自社分析と競合分析


ターゲット設定と並行して、自社と競合他社の分析を行う。

このプロセスのゴールは、「就職先としての、この会社ならではの魅力」を見つけることだ。

自社の魅力を棚卸しする

ふだん働いている中では意識する機会が少ないが、労働環境としての会社の魅力は何かを考えてみよう。それは待遇かもしれないし、やりがいかもしれない。

ポイントとしては、デスクにかじりついて考えるよりも、地道かもしれないが社内に落ちているヒントをつぶさに観察して拾っていくことだ。

「人事担当として思う魅力」ももちろん必要だし、「現場の各部門ではたらく社員が、それぞれ感じている魅力」も見逃してはならない。また、転職して働いている社員がいれば、彼らに話を聞くことでより相対化した視点も手に入れることができる。

まずはこうした調査をもとにして、箇条書きなどでリスト化してみるのがファーストステップだ。


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文=小野祐紀

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