キャリア・教育

2020.08.20 08:30

ある男子生徒の言葉から生まれた、先生の思考をアップデートする仕組みづくり

スマイルバトンの三原菜央

日本の教育制度がつくられたのは、約150年前。時代の流れが急激に進む一方で、実際の教育現場では工業生産が盛んだった50年以上前と大きな変化はない。

また公立学校の先生の志願者は減り、教師の離職率は増え、日本の教育はいままさに変革を求めらている。1番の課題は、多くの公立学校の教師に裁量権がないことと言われている。教師はつねに業務に追われている状況で、生徒どころか自身の創造性を育む場所も少ない。

筆者は、慶應義塾大学大学院(SDM)で約4年非常勤講師をつとめ、スタンフォード大学やバブソンカレッジなど海外のビジネススクールでも学んできた。それらの私立大学の講師は、いわば現場のプロデューサーで臨機応変にプログラムを改変していく。講師はつねに生徒から評価され、改善を求められる。

変化を起こしにくい、教育現場の仕組みに対してものいう批評家は多いが、継続的に課題解決に向けて行動にうつしている人は少ない。そんな中、オンラインコミュニティで先生の思考をアップデートし、行動の質を変えていこうとする試みがある。それらを実践する「先生の学校」を設立したスマイルバトンの三原菜央に話を聞いた。



社会経験が少ない先生たち


三原は、保育士・幼稚園教諭の資格が取得できる私立の専門学校の先生をしていた。先生をやりながら学校広報を8年経験。その後、リクルートライフスタイルで働き、ソーシャルビジネスで課題を解決するボーダレスジャパンのグループ会社の1社として「先生の学校」を創業した。

先生を天職と思っていたが、ある時、男子生徒にかけられた言葉が三原の人生を大きく変えた。「おすすめの一般企業を教えてよ」。保育園や幼稚園関係の就職先の知識はあったものの、おすすめの一般企業と言われても就職もしたことがないので答えられない。社会経験の幅が狭い自分の立場に危機感を感じた。

生徒たちに多様な経験を伝えるためには、先生の経験だけだと不十分だと考えた三原は、教職を退職。ベンチャー企業を2社経験後、リクルートライフスタイルに入り、企業の中で広報の経験を積んだ。
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文=齋藤潤一、写真=株式会社スマイルバトン

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