「やりたい仕事ができるようになるための最良のルートは、『畳み人』のスキル(=畳む技術)を身につけることだ」。そう語るのは、幻冬舎編集本部コンテンツビジネス局局次長の設楽悠介氏だ。設楽氏は、幻冬舎のブロックチェーン専門メディア「あたらしい経済(New economy)」の編集長として、またその他関連企業複数社の取締役として、第一線で活躍している。
そんな設楽氏の著書『「畳み人」という選択 「本当にやりたいこと」ができるようになる働き方の教科書』では、これまで幻冬舎のカリスマ社長・見城徹氏や、メディアで話題の編集者・箕輪厚介氏が次々に立てる突飛なプランを影ながら実行に移してきた自身の「畳む技術」のノウハウが、惜しげもなく詰め込まれている。今回はその中から特別に、一部抜粋して紹介する。
広げ人のアイデアを「はじめは」一緒に面白がれ
広げ人のアイデアを「はじめは」一緒に面白がること。
これが風呂敷畳み人にとって、非常に大切なファースト・アクションです。
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広げ人がすばらしいアイデアを生み出した時は、何よりもまず「共感者」を求めています。だからこそ畳み人はたとえリスクを感じても、そのリスクと同等か、もしくはそれを上回る可能性を感じたのであれば、大いに面白がりましょう。
アイデアを生み出した広げ人と一緒になってそのプロジェクトを世に広めていくのが、畳み人の役割の一つです。優秀な広げ人が出すアイデアは実に突飛なものなので実行するのが難しく、障壁も高いです。ただ簡単に実現できそうにないからこそ、そのビジネスアイデアが大きな価値を含んでいる可能性は高いと言えます。
アイデアを出したばかりの広げ人は、とても高揚しています。「やばい、自分は天才かもしれない」と、生み出した喜びに興奮し、自分の中でモヤモヤしていたアイデアが形になった時の心地よさを味わっています。
また広げ人はアイデアを思いつくやいなや、そのアイデアを実現する可能性を探り始めます。その時の心境はまるで、宝の地図を手に入れて、今から船を出して宝島に向かおうとする船長です。そしてその船出には、船を漕いだり、探検をしたりするための仲間が必要です。
ただしそのアイデアが突飛であればあるほど、それを聞いた現場のメンバーは実現できる可能性が低いと感じるものです。そのアイデアを思いついた広げ人はメンバーに聞きます。「このアイデア、どう思う?」と。
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その時現場のメンバーの回答として多いのは「面白いと思うんですが」から続く、いくつかの懸案事項です。「それは面白いのですが、コストがかかります」「マネタイズが難しいです」「今の社内にはそれを運用するマンパワーやリソースがありません」「すでに似たようなサービスがあるかもしれません」など。
もちろんそういった指摘は事実として的を射ていることもあるでしょう。しかしくり返しますが、イノベーションを起こすようなアイデアは、誰もが簡単にできないことの中にあります。つまりそのアイデアにリスクがあるのは、当然なのです。
だからこそ畳み人は、まずそのアイデアの「面白いところ」を探しましょう。そして共感できるポイントが見つかれば、大いにそれを面白がりましょう。その時点では、広げ人のアイデアの実現を阻む事柄についていったん忘れてしまってもいいのかもしれません。