調査を実施した時期は、ちょうど全米各地で新型コロナウイルスが広まり始めた3~4月で、人々が新型ウイルスの経済への影響をまだ実感できていないころだった。回答内容には当時の考え方が反映されている。
今年は、ワシントン州ケントに本社を置くスポーツ用品販売店チェーンのREIが昨年から順位を20位上げてトップに躍り出た。だが同社も全米で実店舗を展開する他の多くの企業と同様、新型ウイルス対策をめぐり批判を浴びている。同社は、社内で新型ウイルス感染者が出たことを他の従業員に告知しなかったとされる。また4月には従業員の90%を一時帰休とし、7月には店舗スタッフの5%以上削減を強いられた。
REIのエリック・アーツ最高経営責任者(CEO)は5月、自社の協同組合員に向けて、同社は従来の価値観を変えることはなく、利益よりも人を重視し、職場での多様性、公平性、インクルージョン(包摂性)を推進していくと宣言した。同社は2019年、管理職向けにインクルージョンに関するリーダーシップ研修を、また1万4000人の全従業員に対し潜在的偏見に関する研修を実施した。2019年時点での社内の女性比率は取締役で38%、上級幹部で半数、店舗幹部で44%、全従業員で45%だった。
2017年には「フォース・オブ・ネイチャー」プロジェクトを立ち上げ、女性と自然とをつなげる機会を作る団体へ計100万ドル(約1億1000万円)を投資。さらに女性用アウトドアアパレルのサイズ展開を拡大し、サイズ14以上の女性も着られるようにした。
今年のランキングに入った企業のうち、ウルトラ・ビューティー(3位)やグルーポン(38位)などは新型ウイルス流行の影響で従業員の削減を余儀なくされた。また、さらに望ましくない理由で話題となった企業もある。アーンスト・アンド・ヤングは昨年、ジェンダーに関する偏った固定観念に満ちた研修セミナーを実施したことで激しく批判された。またグーグルでは、最高法務責任者が従業員と不適切な関係を持った疑惑をめぐる捜査の最中に辞任した。
それでもアーンスト・アンド・ヤングは、前年の64位から51位へ躍進。一方で、幹部のセクハラ疑惑や、女性従業員の扱いに対する抗議、多様性・インクルージョン関連プログラムを大幅縮小したことに対する批判に見舞われてきたグーグルは、55位から95位に急落した。