「今まで眼鏡を掛けたことはないのですが、もう最近はかなり見えなくなってきています」と語るのは弊サイトの編集部員(上写真)。目の酷使と加齢によって、眼鏡の必要性を感じつつも、これまで無縁だったために何をどんな基準でどんな眼鏡を選んだらいいのか見当もつかない。眼鏡を掛けてこなかった者には未知の世界だ。
というわけで、大人の初めての眼鏡選びの要諦を知るべく、自ら体験してもらった。
眼鏡選びは、店選びから始まっている
初めての眼鏡選びとなると、そもそも迷ってしまうのが店選びだ。ひと言で眼鏡店といっても、価格が売りの大手チェーン店や街の眼鏡店、百貨店の眼鏡売り場などタイプはさまざまで、店によって扱っているフレームのグレードも違えば、接客の質までも異なる。また、眼鏡は購入後も調整などのアフターケアが必要となるので、なるべく自宅や勤務先から足を運びやすい立地であることも考慮すべきだろう。
やはり1本目となれば、じっくり相談して選びたい。そして、フレームのクオリティやトレンド感も重視したいということもあり、国内外の旬な眼鏡ブランドを取り揃える「セレクトショップ」を選択した。
足を運んだのは、セレクトショップのなかでもカウンセリングを重視した接客に定評のある「デコラ東京」だ。店内へ入ると、まずは中央の大きなソファへ案内される。ここでの客との対話から、使用の用途や好み、ライフスタイルを聞きだし、それに合ったフレームを導き出してくれるというわけだ。
デコラ東京|たくさんの眼鏡を前に目移りしてしまわないよう、あえて店外からは眼鏡が見えない設計になっている。
自分に相応しい1本に出会うには、やはりその道プロであるスタッフに頼るのが一番の近道である。そのため、「なりたいイメージ」や、「どういったシーンで眼鏡の必要性を感じるか」など、眼鏡選びの手がかりとなる自身の情報は、あますことなく伝えたい。そうすることで、スタイリングのみならずレンズの選択においても、的確なアドバイスを受けることができるのだ。
今回接客を担当してくれたのは、デコラ東京と都内の系列店を統括する漆畑博紀。認定眼鏡士の資格を持ち、ファッションにも精通している。ソファに座ると、「在宅勤務になって、パソコンを見る時間は増えましたか?」などと自然な会話からニーズを汲み取っていく。今回モデルとなった編集部員は、テレワークの増加で実感する見えづらさに悩んでいた。
「日常生活は基本的に問題ないんですが、デスクワークで見えづらさを感じることが多いんです。見えづらさにムラがあり、とくに夕方になるとパソコンの文字がキツい。集中したくてもピンボケで非常に不快なため、作業効率が格段に下がります」
こうした会話から、必要なのは主にデスクワーク時に「近用」を見るための眼鏡であると仮定。自宅や社内、また取材時に使用することを念頭に、フレームを選ぶこととなった。
似合う眼鏡選びのポイントは「サイズ感」
双眼鏡のような形の機械「PDメーター」で、左右の瞳孔間の距離を測定。
フレーム選びへと移る前に、漆畑はPDメーターと呼ばれる機械を取り出し顔を計測。PDとは、Pupil Distanceの略で左の瞳孔と右の瞳孔との間の距離のこと。このPDを知ることが、じつは似合う眼鏡を選ぶための重要なプロセスなのだ。
漆畑は言う。「似合う眼鏡を選ぶためには、サイズ感が重要となります。基本的に、掛けた際にレンズの中心にそれぞれの黒目(瞳孔)がくるものが自分に合ったサイズです。サイズが合えば、顔型に関わらずどんな形でもバランスよく掛けられるんですよ」
47□22と表記があるので、この場合フレームPDは足して69となる。147という数字は、テンプル(つる)の長さを表す。
眼鏡にはテンプル(つる)の裏側にサイズ表記があり、「47□22」と書かれていた場合、単位はミリで、47が片眼レンズの幅、22がブリッジ幅(両レンズの間の鼻の部分)となる。この片眼レンズの幅とブリッジ幅を足した数字がフレームPDと呼ばれ、この数字が自分のPDと近いものを選ぶと、レンズの横幅に対して黒目の位置がより中心に近くなり、バランスよく掛けられるという仕組みだ。
彼のPDは、68.5mm。このサイズを踏まえつつ、次に「眼鏡でどう見せたいか」を基準にフレームを選んでいく。最近は自宅での作業が多いとはいえ、取材相手を前に使用することもあるため、オンビジネスのジャケットスタイルにマッチする知的なイメージを希望する。