まず、電動デバイスは何もついていないので、トラディショナルなクルマ好きは嬉しいはず。710psを発揮するトラックホークは、650psを誇る欧州最強SUVのランボルギーニ・ウルスよりもパワフル。のみならず、スーパーカーのマクラーレン720 Sやフェラーリ488ピスタと全く同様の出力と考えると、トラックホークの凄さがジワジワと伝わってくる。もっと驚くのは、パワーはそれらと同様だけど、価格は1356万円で、三分の一ぐらい。
でも誤解しないでほしい。トラックホークはデビューしたばかりの新車ではない。同車が登場したのは2018年だけど、そのベース車となる4代目グランド・チェロキーは、実は2011年にデビューしている。とは言うものの、トラックホークは2015年に出たダッジ・チャレンジャーSRTヘルキャットのV8エンジンと8速ATをそのまま採用している。エキゾーストノートだけは少し控えめにしているけどね。
トラックホークはいうまでもなく、クライスラーが作るジープ・グランド・チェロキーのフラグシップ・モデルだ。実はグランド・チェロキーのライナップの中に5車種以上があって、アメリカでは毎月2万台以上売れている。日本でもジープは人気で、それらをアメリカから輸出しているFCA社は、意外や日本国内で4番目のインポーターに浮上している。
ジープというブランドの中でグランド・チェロキーの他に、2年前に新型ラングラーが出て大人気になったおかげで、ジープの中古車の価格はマツダCX-3やアウディQ2より高値をキープしている。しかも、何とコロナ禍が長引く中でも、ジープの販売率は下がらないというのは、その人気の強さを物語る。
ジープの話題となると、色々と不思議な話があって少し脱線したけど、トラックホークの話に戻ろう。
ボディーは、標準モデルのグランド・チェロキーとあまり変わらない。ノーズには大きな開口部を持つエアダムを備え、しかもボディカラーがブラックだったこともあり、まるで「ワイルド・スピード」のワンシーンに登場している感じがした。ドレスアップ度は思っていたより控えめだったけど、太い22インチのタイヤと6ピストンの大型ブレーキはクルマの性能を物語っている。