ミネルバ式「深く潜る」リーダーシップ思考とは何か|逆境を生き抜く組織カルチャーVol.5

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コロナ禍によって、日本ではあらゆる面での社会変革を迫られている。企業においてはデジタル・トランスフォーメーション(DX)や人事制度改革など、早急に取り組むべき課題もある。そんな中で求められるリーダーシップとは何なのか。米国で革新的なリーダーシッププログラムを運営するミネルバ大学に協力をお願いし、日本・海外の多くの事例を知る組織・人材開発の最前線の人に話を聞く連載企画(Vol.1Vol.2Vol.3Vol.4はこちら)。

Vol.5はマッキンゼーのコンサルタントとして多くのグローバル大企業やNPO、NGO組織の改革や文化構築に携わった後、現在はミネルバ大学で社会人教育のアソシエイト・ディーンを務めるグローリア・タム教授へのインタビュー(後編)をお届けする。(前編「ゲイツ財団は『組織文化』をこう変えた」はこちら
※以下、グローリア・タム教授談


「アイスバーグ・モデル」で構造的な深層まで潜る


前編ではゲイツ財団の組織文化変革の事例について、いかに人々の「ふるまい」や「考え方」のギャップを埋めるためのコミュニケーションが重要かをお話ししました。一方で、改革を実装するためのトランスフォーメーションの過程も大切です。つまり、前編でもお話しした2つの鍵、「すべては『人』にかかっている」との理解に立った正しいマインドセット、そして変革プロセスの「ケイパビリティ=実現力」の2つを持っていれば、少なくとも「新しい行動」を促すための正しい軌道にいる、と言うことができます。ここで言う「ケイパビリティ=実現力」とは、プロジェクトを成し遂げるための過程をどう評価するか、各グローバル・オフィスのマネージメントが戦略的な視点でできているか、ということにかかってきます。

ここで私がご紹介したいのが、「アイスバーグ(氷山)モデル」という考え方です。ひとつひとつのふるまい、起こっていること、相互の反応、個人的な発言、行動。それらは、単に氷山の一角、表層にすぎないということです。
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編集=岩坪文子

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