平等な機会を。そして女性自身も変わるべき
ジェンダーギャップという解消すべき社会問題があるからボードメンバーに女性を加えなければならないのか? 間違っても、そのような浅い受け止めかたをしてはならない。なぜなら、まず、私たちの社会はずっと昔から固定化された悪しき文化の中から未だ抜け出せていないからだ。
「おっしゃるとおり。文化を変えるには時間がかかる。世代の交代とともに徐々に進めていく問題かもしれません。そして、かならずしも女性が社会進出をして、全員が同じように働くべきということでもありません。家事に重きを置く人もいます。だからこそ目指べきは『イコール・オポチュニティ』だということです。単におしきせの『働くべき論』ではなく、より大きな選択肢の中から自分の道を選べる体制が必要だということ。その時に企業は、サポートできるように準備しておくことなのです」
サポートする家族と企業の役割がもっと重要になってくる。そのなかで、上を目指す女性は、環境の変化だけでなく、自分たち自身はどういうマインドでいればいいのか。
「女性は能力があっても積極的になれない人もいます。どうせ私なんか……と考える人もいます。女性も昇進どうですかと言われるのを待っているのではなく、自分から責任をまっとうし、昇進したい人は勇気をもって働きかけるべき時代なのだと思います。皮肉めいていますが、男性は仮に到達すべきレベルに達していない人でもマネージャーに昇進できる現代の社会に挑戦、そんなマインドでやってもいいのかもしれません。
そして広義に教育も重要だと念を押す。
マリー・フロマジェは日本をより深く知るために数週間滞在してみたいという。
「全世界的に、教育における男女平等はある程度達成されています。それが就業を目の前に平等ではない現状があることを申してきましたが、自ら何が必要かを判断して、トレーニングし続けることも重要ですね。私自身も、いまいる会社の中でデジタル化など世界の変化に合わせてスキルの向上などにつとめています。将来はわからないけれど、さまざまな機会に挑戦して取り組めればと思っています」
フロマジェの所属するアクサIMでは、先進国及び新興国の企業に対して、ジェンダー・ダイバーシティに関する議決権行使の拡大を行ったとリリースで報じた。資産運用会社である同社は、投資する先が持つべき企業の発展に最も重要な視点であるひとつとして、ジェンダーの不平等への問題に真摯に向き合ってもらうためだ。それはおのずと企業の発展につながるのだ。
「日本企業の効果的な戦略は、まず、企業自身がダイバーシティを広範な『事業目標』とリンクさせて考えることでしょう」
企業内の自発的な変化が遅い傾向にある日本では、この明確な目標が、自らを導くことになるのかもしれない。