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2020.07.30 16:30

女性執行役員1%の日本の現実 ジェンダー不平等解消は可能か


世界の状況と文化的背景


フロマジェの発信したレポートは、日本、ドイツ、中国、インドの4カ国を対象としたものだ。欧州をリードする印象のドイツですら、決して優等生とは言えない状況があるという。

「ドイツでは『ミニジョブ』という月間の収入が500ユーロ(日本円で約6万円強)にも満たない雇用形態があります。いわゆるパートタイムです。これはほとんど女性が従事しており、フランスでもパートタイマーは女性が主です。もちろん、それでいいという人もいるでしょう。しかし、一度出産などで一線を離れた女性が携われる仕事の選択肢は、決して多くはないのです」

また、フロマジェのレポートによれば、ドイツの女性の過半数はパートタイムで働いており、旧西ドイツの女性の17%が「家族の世話がパートを選んだ理由」と答えている。一方、日本でも同じような状況があるとレポートでは示されている。

「日本の企業は今でも従業員に家族のための福利厚生や手当を出しています。しかしこれには、妻が一定以上の賃金を稼いでいないことを条件としていることが多くなっています。そのため、女性の56%はフルタイムの仕事を選ばない状態があります。2017年には、71%の仕事をしている母親のうちフルタイムで働いているのはわずか4人に1人。10人に1人しか管理職まで昇進しません。このような労働形態やキャリア形成の差異から男女の賃金格差は24.5%に達し(2017年)、これはOECD諸国の中で3番目に悪い数値です」


from Report :「子育ては女の仕事」という風潮

アクサIMレポート「職業人生におけるジェンダーの不平等: 投資家にできることは」では、女性の一生に影響を及ぼす悪しき発想は世界中にあると指摘している。


女性は今でも子育てや介護を担うものと見なされている。好むと好まざるとにかかわらず女性はより多くの時間を子育てに費やしている
・デンマークでは第1子を持つと女性の給料が20%減る。この傾向は世界中で見られる
・日本では母親の71%が働いているが、フルタイムはそのうち25%に過ぎない。この結果、女性がキャリアを積むのは難しくなっている。管理職になるのはわずか10%


職場における男女のギャップには、まず家庭でのそれに向き合う必要がある。家事に費やす時間が多ければ、その分、職場での時間は減る。これは世界共通だとフロマジェは言う。

「女性の仕事に対するコミットメントが低いという認識が広く蔓延しているのでしょう。出産や育児のために仕事を辞めるかパートタイムにするかではなく、企業によるサポートができていることが大事なのです」

彼女の母国フランスは、1930年代から家族政策に注力している。主に少子化対策で、通称「家族法典」と呼ばれる法整備など、家族手当の充実ぶりは現在も活きている。しかし、悪しき文化の払拭には至っていないという。

「フランスでは父親にも育児休暇がありますが、土日を含めてたった11日しかない。せめて30日にしようと政府は動いています。父と母の家庭における役割のバランスを取ろうとしているのです。また、世代の違いもあります。私の親の世代は仕事中心の考え方ですが、若い人たちは子育てに加わりたいという意識が高いのです。たしかにフランスの社会保障は良い。でも手当ての差はあり、だからこそ政府は解消をしようとしている現状があります」
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文=坂元耕二

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