見えてきた感染経路
6月から約10回、多くのホストクラブ経営者と区長、保健所、更に感染症の専門家を交えて感染症に関する勉強会を開いた。原因は何か? どうすれば感染拡大を防げるのか? かなりの時間を疑問解消に費やした。あるときは、感染者がたくさん出てしまったお店を見学した。
防止策を模索している最中、「感染拡大はホストクラブ内よりも、集団行動をするホスト達の生態が引き起こしているのかもしれない」という可能性が濃厚になってきた。
実際に、スポーツジムなどでクラスターが発生した事例でも、運動しているところではなく、運動後に気を抜いた更衣室が感染源だった。クラスターを発生させた他の事例も、そのような気を抜いたタイミングが多いそうだ。
メディアによるホストクラブ連呼は、当然ホスト達の耳にも入る。ホストクラブで働くことに恐怖を覚える人も沢山いる。しかし、問題なのは、彼ら自身も「問題はホストクラブにある」と思ってしまうことだ。
ホストクラブ内では感染予防の意識はあっても、ホストクラブの外であるなら大丈夫と気を抜いてしまうことが上記の更衣室と同じ問題を起こしているようなのだ。
生活時間が一般的な社会とは約6時間ズレているホスト達は、職場の仲間とプライベートを共にする。深夜の営業終了後も共に過ごしたり、中には共同生活を行っている子たちもいる。そういった場所がクラスターになっているのではないか? ということが現時点で私が辿り着いた最も強い見解だ。
ホストクラブは管理しやすい、しかし
今、ホストたちにできることは一人一人の予防の意識を上げる勉強会を繰り返すことだ。
ホストクラブは、お客様と接するキャスト、キャストを支える内勤者、そしてお客様で成り立つものだ。そのため、総合的に統制が取りやすくなっている。昔ながらの男の縦社会が未だに残っているのも、その理由のひとつだ。だから店舗内での感染防止は行いやすい。そして、お客様の連絡先をほとんど把握しているため、感染経路も追いやすい。
ステイホームのサイン / Getty Images
現在、歌舞伎町のホストクラブは、売り手市場だ。50坪の店にホスト20人いたら多い方だろう。2人のホストが1人のお客様を接客したとしても50坪に30人だ。店舗によって換気がしやすい店しづらい店があるが、各店舗それぞれ工夫をし出して、換気しやすくなるように工事をビルの管理会社にお願いする事例も耳にする。
このようなホストクラブの特性や実地調査を踏まえると、見えてきたのは一人ひとりの衛生意識。ホストクラブから一歩外での行動なのだ。