ビジネス

2020.07.20 18:30

問題山積 ソフトバンクが提携する米エネルギー企業の実態


この物語に光明があるとすれば、世界にはカリフォルニアより大気汚染が激しい場所が山ほどあり、そういった地域の人々はブルームが販売する製品に関心があるかもしれないということだ。同社は日本でソフトバンクと提携し、複数の場所にボックスを設置している。韓国では最近、同社初となる「パワー・タワー」を建設。これはボックスを積み重ねた4階建ての構造物で、側面は開放されている。また、現在はサムスンと共同で、ボックスの電力で船舶を走らせる方法も模索している。


米カリフォルニア州サンディエゴのオフィスビル「ラ・ホーヤ・コモンズ」は、ブルームの発電施設を設置しており、建築などの環境性能評価システム「LEED」のゴールド、省エネルギー型機器・設備などに与えられる「エナジースター」の認証を得ている

シュリダーは今後、ブルームの電力価格は下がり、ボックスの耐久力は上がっていくと言う。そして、オフィスの壁にかけられた、衛星から撮られた地球の夜の部分の写真からひらめきを得ていると語った。闇にともる明かりは、世界人口の大半を表していると彼は言う。

「残りの20億人は電力網の外の、ついてない人たち。私が会社を立ち上げる原動力となった存在です」それは変わらず、現在の彼も突き動かしている。

「少しでも前に進んでいる」彼は、そう思いたいのだ。


KR・シュリダー◎ブルーム・エナジーの共同創業者でありCEO。インドで育ち、タミル・ナードゥ州の国立工科大学ティルチラーパッリ校に学ぶ。米国に留学後、アリゾナ大学の宇宙技術研究所でNASAの火星探査ミッション用の酸素発生器の開発に取り組み、この技術を応用、ブルーム・エナジーの発電システムを開発した。

ブルーム・エナジー◎2001年創業。NASAの火星探査用の技術を応用、低コストで温室効果ガス排出量の少ないクリーンな発電システムを開発。グーグル、ウォルマート、AT&T、イーベイ、コカ・コーラのほか、カリフォルニア工科大学などに電力を供給している。本社は米カリフォルニア州サニーベール。

文=クリストファー・ヘルマン 写真=ティム・パネル 翻訳=木村理恵 編集=森 裕子

この記事は 「Forbes JAPAN 5月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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