現在ハリウッドで国際派女優をめざしながら、日本人プラスサイズモデルとして注目を集める藤井美穂は、インスタグラムのフォロワーが7万人を超えている。日経Doorsで彼女は、日本における「美しい=細い」という価値観を払拭したいと話した。彼女も、先ほどのアフリカ人のクラスメイトのように、自身の体に向き合い美しさの多様性を、苦悩の期間を経て見出している。
彼女たちが纏う雰囲気や自信は、周りの視線や冷たい言葉に打ち勝って考え抜いた、体の奥底の信念からきているのではないだろうか。歌手のリゾの訴えや、モデル藤井美穂の活動、そしてアフリカ人の女の子の言葉から、多様性をより尊重する風に社会が変わってきているように感じた。
本質を見失わない「美」の未来
日本やアジアの人々が肥満を恐れる理由は、健康状態の悪化よりも「外見」を気にしているからではないだろうか。見た目を改善することが目的となったダイエットの流行により、健康の本質を見失われたように思われる。筆者自身、過度なダイエットを半年以上続けたことがあった。朝晩はりんごを食べ、昼はおにぎり1つだけという極端な方法を取り入れたのだ。当時は高校生だったのもあり、栄養のバランスよりも見た目を重視し、結局目標体重を達成しても満足せず、栄養を考えないダイエットを続け体を痛めつけた。
もちろんそのような食事法では、初めの数カ月は急速に体重は落ちるが、午後になるとめまいがし、食事を最小限に減らしても最終的には体重が全く落ちなくなったのを覚えている。当時筆者が抱いていた理想の「美しさ」は、海外の女性の美学に数年触れた現在抱くものと、全く異なる。減量中に、両親や目上の人に言われた言葉、「美しさは内面から溢れるもの。内面が美しければ自ずと外見も輝く」の意味が、今だと様々な解釈をしながら理解できる。
美しさにスタンダードはないこと、そして栄養バランスがとれた健康的な生活が、本来の美しさを生かしてくれることを、海外の女性たちは教えてくれた。美容の分野でも「多様性」という言葉が重要視され、社会が大きく変わる途中であるように思われる。今後も、人々がよりポジティブで、心も体もヘルシーでいられる社会に近づいていくことを願いたい。
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