ビジネス

2020.07.18 10:00

「プラスチック削減」をめぐる米国各社の取り組みと課題


そうした企業は存在する。老舗ブランドのアディダスなどが、その先頭に立っている。

アディダスは2020年中に、製品に使用するポリエステルの50%をリサイクル素材に移行することを明らかにした。さらに2024年までには、解決策が存在するのであれば、製品に使用する素材を「すべて」リサイクル・ポリエステルに置き換えることを目指すという。

アディダスは2020年、プラスチック廃棄物を使ったシューズを1500万足から2000万足という大きな規模で製造する計画だ。それに力を貸しているのが、海洋の環境問題に取り組む非営利団体「パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ(Parley for the Oceans)」だ。この団体は、海岸に落ちているプラスチックごみが海へと流されてしまわないよう回収する活動などを行っている。

ほかのアパレル小売店も、こうした流れに乗っている。

小売店にとって、リサイクルプラスチックを使用することは、環境を考慮したより責任ある行動というだけではない。

持続可能な旅行用品メーカー、ソルガード(Solgaard)の創業者エイドリアン・ソルガード(Adrian Solgaard)に聞けば、リサイクルプラスチックを使うことは、自社製品にまつわる「ストーリー」を伝えられる重要なチャンスでもあると答えるだろう。

「リサイクルプラスチックを身の回りの品の素材として使うのは、素晴らしいチャンスだ。それを使う人が、その製品がどのようにして手元にたどり着いたのかというストーリーを語ることができるからだ」とソルガードは言う。

「わが社の製品はすべて、海に廃棄されそうだったプラスチックで作られている。そうした背景を伝えているので、購入した人も、製品を身に着けたり使ったりするたびに、それを話したくなる」

しかし、リサイクルプラスチックをめぐる議論はここで終わるわけではない。「rPET」と呼ばれる、リサイクルプラスチックを含む再生素材を利用することは、問題解決という大きなパズルの1ピースにすぎないのだ。

公正で再生可能な経済を目指すラウデス財団(The Laudes Foundation)から資金提供を受けている非営利団体「バイオミミクリー研究所(Biomimicry Institute)」はこのほど、「Nature of Fashion report」と題したリポートを発表した。このなかで同研究所は、将来的には、アパレル業界のループはすべて、循環型の経済インフラが必要だと説いている。利用可能な素材の有用性を、高効率で抽出・消費するためのインフラだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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