イリノイ州ノーマルにある同社の生産拠点は、閉鎖された自動車工場を改築したものだ。同社によると、今回のラウンドを主導したのは既存株主であるティー・ロウ・プライスで、ソロス・ファンド・マネジメントやCoatue、フィデリティ、Baron Capital Groupの他、既存株主であるアマゾンやブラックロックも参加したという。
これでリビアンの累計調達額は54億ドルを超え、生産開始前のEVスタートアップの調達額としてはテスラを抜いて過去最大となった。ピックアップトラック「R1T」とSUV「R1S」、アマゾン用配送トラックの納車開始は来年を予定している。
Guidehouse Insightsのアナリスト、Sam Abuelsamidは、自動車メーカーの立ち上げには莫大な資金が必要であり、今回の資金調達によってリビアンの初期オペレーションは円滑になると指摘する。
「リビアンは、車両をローンチした後もしばらくは赤字が予想される。サプライヤーに支払いをするためには、資金を潤沢に用意する必要があった」とAbuelsamidは話す。
黎明期にあるEVピックアップトラック市場で、リビアンとテスラは今後熾烈な競争を繰り広げることが予想されるが、両社のアプローチは大きく異なる。デザイン面では、テスラのサイバートラックが近未来的であるのに対し、リビアンのR1Tはより伝統的な外見をしている。
マーケティング面では、リビアンが山やビーチ、雪道などアウトドアでの利用をアピールしているが、サイバートラックはまるで映画ターミネーターに登場する近未来の軍用車両のようだ。それでもテスラファンはサイバートラックに熱狂しており、イーロン・マスクによると、受注台数は既に数十万台に達するという。同社は生産体制を強化するため、現在テキサス州、オクラホマ州と新工場の建設について協議しているという。
Abuelsamidは、リビアンが大型調達を行った背景には、製品に対する需要が当初計画を上回っていることがあると推測する。「リビアンは公表していないが、潜在顧客が十分見込めると考えて生産拠点の増設を検討しているのかもしれない」とAbuelsamidは話す。