アリゾナ州フェニックスに本拠を置くニコラの株価は、6月8日に104%上場して73.27ドルとなった。発行済株式数約3億6000万株をベースに算出した時価総額は264億ドル(約2.8兆円)となる。
同社の創業者でエグゼクティブ・チェアマンのミルトンが保有する株式の価値は、8日の終値ベースで約81億ドルに達した。ニコラは6月7日に水素燃料電池で駆動するセミトレーラー「Badger」の受注を月内に開始すると発表しており、収益増への期待感から株価が高騰したと考えられる。
「株価の高騰には流通株式数の少なさも影響しているが、最大の要因は6月29日からBadgerの受注を開始することと、我々が主催するイベント、Nikola Worldの開催について発表したことだろう。我々の事業はセミトレーラーの開発が全てであり、株価はトラックによる期待収益に基づいてプライシングされている。アナリストや投資家の多くは、Badgerがこれほど早く市場に投入されるとは予想していなかったのだろう」とミルトンは語った。
ニコラは、Badgerの製造を自動車メーカーに委託しているが、企業名は明かしておらず、製造開始日も非公開だが、大きな需要を見込んでいる。「6月29日以降の予約台数と予想収益は、近年稀に見る規模になるだろう」とミルトンは話す。
Badgerは、ニコラが長距離トラック用に開発した燃料電池とバッテリーを併用して走行する。航続距離は600マイル(約966km)と、リチウムイオン・バッテリーを採用するテスラの「サイバートラック」やRivianの「R1T」の約2倍だ。Badgerの価格は、まだ公表されていない。
ニコラは、伝統的なIPOではなく、上場企業である「VectoIQ」との合併によるナスダックへの上場を選択した。
同社は2021年までトラックを販売しないにも関わらず、6月8日時点での時価総額は約300億ドルのフォードを少し下回る規模となっている。