ビジネス

2020.08.03 07:00

ヒラメ筋型で目指すオープンイノベーション戦略

住友生命保険・新規ビジネス企 画部は部長の藤本宏樹(中央) を中心に、総勢12名(2020年 3月時点)でオープンイノベーシ ョンの推進に取り組む。目指すは 「オープンイノベーション2.0」だ。

オープンイノベーションを推進する大企業が集うコミュニティ「αTRACKERS」。Forbes JAPANは、αTRACKERSと、国内CVC・オープンイノベーションの先進事例にフォーカスした短期集中連載を行っている。

今回は、住友生命保険のスタートアップとの連携をはじめとしたオープンイノベーション推進の取り組みと今後について聞いた。


住友生命保険は2019年4月、スタートアップ企業とのオープンイノベーション推進を行う新規ビジネス企画部を設立した。「我々の取り組みは『(ふくらはぎの筋肉である)ヒラメ筋型』。いわゆる足で稼ぐオープンイノベーション戦略です」と話すのは、新規ビジネス企画部部長の藤本宏樹(4月から執行役員)。実際に、今春からスタートアップとの共創で実証実験(PoC)を始めるインシュアランスモビリティの取り組みのきっかけも藤本が足で稼いだ。

「ビジネスカンファレンスの懇親会でスタートアップ企業の代表と話をしたことから始まりました。普段は接点の少ない都心のオフィスビルで働くお客さまに、保険との新しい出会いや体験を創出する取り組みを行います」

住友生命保険グループは、スタートアップ企業と業界初の移動型ショップの実証実験を行う。3〜7月にかけてグループ会社が運営する保険ショップが行うモビリティを活用した健康増進に関連したコンテンツや、新しいテクノロジーの実証実験を予定している。

「保険が街に出かけていく」というイメージで、「オフィスビルや商業施設での新たな接点の構築や、保険に興味を持っていただいたお客さまを、ご要望に応じて保険ショップへご案内したりします」

こうした「保険を身近に」する取り組みは他にもある。AIを活用して顧客の保険選びをお手伝いするプロジェクトや、デジタルでの新たな顧客接点づくり、ヘルスケア領域での新しい価値創造などの実証実験を計画している。

新規ビジネス企画部は、「顧客」「社会」「会社・職員」の新たな共有価値創造(CSV)を目指して、デジタルイノベーションを推進する「スミセイ・デジタル・イノベーション・ラボ」、アクサ生命保険と業務提携し介護ビジネスを推進する「ウェルエイジング共創ラボ」とともに、同社のイノベーションの取り組みを進めていく。そのオープンイノベーションの取り組みは、1「新しい商品・サービス・付加価値の創出」、2「新しいマーケットの開拓・展開」、3「新規ビジネスの創出(本業周辺分野中心)」がメイン領域となる。

新規ビジネス企画部は19年4月〜12月にかけて、共創に向けたミーティングを90社と行い、既存ビジネスでの活用14社、共創ビジネスプラン準備中14社、実証実験を4社と進めている。今後は実証実験の大幅増加、実装への取り組みを強化するという。また、ベンチャーキャピタルのサムライインキュベートと短期集中事業立案プログラム「スミセイ・ミライBootCamp」を実施。応募13社から4社を選定、現在1社と協業検討を進めている。


ライフスタイルアクセントの「コットンプロジェクト~タネから育てる 服~」に参画し、地方活性化やSDGsの視点からの取り組みも進める。
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文=フォーブス ジャパン編集部 写真=若原瑞昌

この記事は 「Forbes JAPAN 5月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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