ビジネス

2020.08.03 07:00

ヒラメ筋型で目指すオープンイノベーション戦略


「スタートアップ側からのアプローチも予想以上にあり、我々もスピードアップしていかなければいけないと感じている。今後は、『オープンイノベーション2.0』へ挑戦したい。そのひとつが、大企業、スタートアップ、アカデミア、自治体と連携しながら、1対1からN対N型へオープンイノベーションを進化させること」と藤本は話す。

その言葉通り、これまでも三菱総合研究所の「未来共創イノベーションネットワーク」や、三井住友銀行、日本総合研究所の「Incubation & Innovation Initiative」などといった事業コンソーシアムへ参画。現在進行形の事例としては、「未来共創イノベーションネットワーク」にて、「(乳幼児期の子どもがいる)夫婦のストレスマネジメント」という社会課題に対してオープンイノベーションの取り組みを行っていく。

それ以外にも、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の設立も検討している。これまでの国内外5社のVCへのLP投資に加え、投資機能も強化していく形だ。

「住友生命保険自体も、戦後14年間に保有契約高77倍、総資産102倍まで急拡大したベンチャースピリットのある社風。その中で掲げた、我々の部署のコンセプトは『Don’t stop me now』。その言葉通りに、自由に発想し、大胆に決断し、スピーディーに行動しながら、新しい価値を生む『新事業をつくる』。それこそが存在意義だと思っています」


住友生命保険◎1907年5月創業。2019年3月期決算では、売上高にあたる保険料等収入はグループ全体で2兆6,056億円、基礎利益が同3,976億円。従業員数は42,954名。オープンイノベーションの取り組みを積極的に行なっている。

α TRACKERS(アルファトラッカーズ)◎独立系VCのグローバル・ブレインが2018年12月に設立した、オープンイノベーション推進に積極的な大企業を集めたコミュニティ。日本を代表するCVC運営企業をネットワーク化して各社の活動を支援していく。参画企業はKDDI、三井不動産など35社。Forbes JAPANはメディアパートナーとしてかかわる。

文=フォーブス ジャパン編集部 写真=若原瑞昌

この記事は 「Forbes JAPAN 5月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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