品川区荏原の「same gallery」にて「盗めるアート展」が開催される。24時間無人営業のギャラリーに展示される作品は、全て来場者が自由に盗んで(持って帰って)良い。期間は7月10日から19日までの10日間。11組のアーティストが1組1作品を出展する予定で、全作品が盗まれ次第、展示は終了となる。
3月にオープンした同ギャラリーでは、アーティストもお客も思い思いのアート作品を持ち寄って展示する「bring your own art party」など斬新な企画が行われている。ギャラリーの主催者であり、クリエイティブディレクターの長谷川踏太に話を聞いた。
──「盗めるアート展」を企画したきっかけを教えてください。
アートと人との付き合い方のバリエーションを増やせたらと思い、企画しました。高尚な美術館やギャラリーに緊張して行く経験もいいし、気楽に鑑賞できる場があってもいい。海外だと自宅にある作品を人に見せたいという気持ちからアートを飾る人も多いんですが、特に日本だと自分がもっている作品を見せられる機会ってあまりないじゃないですか。だからそういうことができる場を作ったりして、もっとアートが生活に溶け込むようになればいいなと思っています。
どうしてもアートは関わりにくいものだと捉えられがちなので、黙って真面目に鑑賞するだけじゃなくて、自分の生活に取り入れたり、自分で楽しんだりする対象としてもいいんですよ、というように考え方を変えるきっかけになればと。
──即日全作品が盗まれてしまう気がするのですが、対策などは設けていますか。
どういうことが起きるかという実験でもあるので、特に対策は設けていないです。この企画においてあまり意図的に何かをしようとは思っていないですね。
──長谷川さんご自身「アート泥棒」に憧れがあったのですか。
僕自身も作家として作品を作ることもあるんですが、絵画が盗まれるのって超有名なアーティストだけじゃないですか。「俺の作品盗まれたんだよね」と言えたら箔が付いていいかなと思って、そういう憧れはありましたね。絵画泥棒のドキュメンタリーを見るのも好きなので、以前から興味はありました。