──もしご自身が「アート泥棒」になるなら、どのようにお宝を盗み出しますか。
周りに気づかれないうちに作品がなくなってたらかっこいいですよね。例えば、一度レセプションで作品を見に行ってその複製を作ってすり替えて、盗まれたと誰も気づいてない、みたいなのはやってみたいですね。今回はルールとして作品の持ち込みは禁止にしているんですが、わからないくらいよくできてて、バレなければいいんじゃないですかね。
どんな人がどんなことをしてくるのか分からないことや、盗まれることを前提としたらアーティストがどういうものを出品するのかも楽しみですね。
same gallery代表 長谷川踏太
──アートには興味がなく、盗むことを目的として来る人も多いのでは?
「盗む」とアートの掛け合わせが、ちょうどいいバランスだからこそ成り立つのかなと思っています。例えば盗めるスニーカーだと、転売目的の人が来てしまいそうですよね。一方で、アートだと即物的じゃないという特性や、価値が相対的であることで、そういうことは起こらない。そこが面白いんじゃないかなと。
例えば作品に値段がついてたら高い方から盗まれていくかもしれないですけど、「俺はこれが好きだ」っていう考えは人によって違うと思うんですよ。だからアートじゃないとできないんじゃないかなと思いますね。盗まれる意味があるというか。
──どういう人に盗んでほしいですか。
その作品をすごく欲しいと思ってる人ですね。例えばドキュメンタリーでも、10年間ただの散歩のふりをして毎日美術館に通い続け、実は作品を狙っていたというのがあるんですが、そういう「執念」を感じられるのはいいですよね。盗まれたほうも本当にほしいと思って盗んでくれたんだ、と思うだろうし。普通気に入ったアート作品を手に入れるにはただクレジットカードで購入して終わり、となりがちですけど、そうじゃなくて気合いを入れた人に盗んでもらえたら嬉しいですね。
──「アート泥棒」たちにメッセージや、盗むためのヒントがあればお願いします。
住宅街にあるギャラリーなので騒がずに、泥棒のみなさんは潜んで来て下さい。本当に欲しいものだけを盗んで、家に持って帰って下さい。
既にSNSではどうやって盗もうか、相談する声で盛り上がっている。11作品を巡って「アート泥棒」たちはどのように暗躍するのだろうか。盗む際のルールや詳しい出展アーティスト情報が記載されているので、公式サイトは要チェックですよ。
以下に、11組のアーティストの出展予定作品の一部と、出展するアーティストの過去作品を紹介しよう。
exonemo、Nukeme、MINORIMURATA、MASAKO HIRANO、五味彬、Naoki SAND、伊藤ガビン、Joji Nakamura、加賀美財団コレクション、yang02、Merge Majurdan(順不同)
「yousui #2」五味彬(出展予定作品)
MASAKO HIRANO(出展予定作品)
「The Kiss 」exonemo(エキソニモ)(過去作品)
MINORIMURATA(出展予定作品)