経済・社会

2020.06.21 09:00

アフターコロナに求められる「ブルーエコノミー」の回復 海洋観光から養殖まで


5. 海洋公園の保護


現在、地球上の海で保護されているのはたった7.4%です。これらの海洋公園は、海の生物多様性に恩恵をもたらし、魚の繁殖を促進し、地域漁業の強化、観光業の雇用創出、さらには炭素隔離といった波及効果をもたらします。コロナショック対策として、これらの海洋公園を漁業産業に開放すべきとの声もありますが、これは愚かな考えです。

海洋公園は成熟に数十年の時を必要とする長期投資であり、その気になればその成果はたった数日で失われてしまいます。海洋公園をなくすことは、未来の漁業をすぐにでも変えてしまうだけではなく、持続可能なブルーツーリズムにも大きな打撃となるでしょう。このような行動は、はコロナ禍のさなか、ディズニーランドのすべての乗り物を解体して売り払うようなもの。地域の雇用や経済に害をもたらす短絡的な行動です。

海洋公園
インドネシアのコモド国立公園。海洋環境を売りにする公園のひとつだ (Getty Images)

6. 養殖で数十億人を養う


科学者の推定では、海産物減少の影響で栄養状態が悪化する人は世界で約8億4500万人。新型コロナウイルスの大流行が引き起こす海産物の取引や労働ネットワークの混乱は、この課題をさらに悪化させかねません。

景気刺激のための資金を元に、脆弱な地元住民を栄養面で支えるスマートな水産・養殖業を、環境への影響を最小限に抑えつつ強化することで、食料安全保障システムへの打撃はいくらか回避できます。農業で行われている環境と栄養に配慮した投資がその手本となるでしょう。

養殖業
適切な養殖は何億もの人に栄養上の安全を提供できる(Getty Images)
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文=Douglas McCauley、Kristian Teleki、Gloria Fluxà Thienemann

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