さらに海の面積は巨大で、毎年、数百万トンものプラごみが流れ込んでいる。
海のクリーンアップや汚染防止を効率的に進める上で、どの地域にプラごみが密集しているかを把握するのは非常に重要だ。科学ジャーナルのNature Communicationsに発表された論文で、衛星画像の解析がプラごみの追跡に役立つことが示された。
英国のプリマス海洋研究所の科学者らは、欧州宇宙機関(ESA)の2つの衛星の画像をマシンラーニングで解析した。研究チームは12帯域のマルチスペクトル画像(MSI)センサーを備えた、Sentinel-2衛星が収集したデータを使用した。2基の衛星の画像を組み合わせることで、世界の全ての沿岸地域の画像を、2日から5日間隔で分析することが可能になったという。
衛星画像は地上の物体が反射する光のシグナルを捉えている。光に含まれる波長によって、どのような物質があるかを見分けられる。透明な水は近赤外線(NIR)から短波長赤外線(SWIR)までの光を吸収するが、プラごみなどの浮遊物はNIRを反射する。この仕組みを利用して、宇宙から海上の浮遊物を探知できる。
研究チームはギリシャの沿岸にプラスチックのサンプルを浮かべ、プラごみ特有のNIRの反射を、マシンラーニングに学習させた。さらに、プラスチックと海藻や流木などの違いをアルゴリズムで判別可能にした。
その後、アルゴリズムの完成度を試すために、世界の4地域の海の画像を分析させてみた。すると、86%の精度でプラごみを判別できることが確認されたという。まだ完璧ではないが、これはかなりの精度と言える。
現状では、アルゴリズムが判別可能なのは一定のサイズ以上のプラスチック片に限られている。しかし、これらのプラスチック片は極めて有害なマイクロプラスチックの発生源となっており、その動きが把握可能になるのは大きな進歩だ。
衛星画像をマシンラーニングで解析することで、世界の海のプラごみ汚染の実態の解明が、さらに進むことになりそうだ。