われわれが環境汚染を懸念するのは適切なことだ。太平洋ごみベルトにプラスチックごみが集まる悲惨な写真が広まったこともあり、一部の社会では積極的な対策が講じられている。
しかし、使い捨てプラスチックの使用反対を訴える流れは逆転するかもしれない。伝染病に対する恐怖が出てきたからだ。
新型コロナウイルスの影響を受けて、使い捨てプラスチックの使用を禁じる法律を見直そうという動きが突然出てきている。人々は物に触れることに不安を覚え、誰が触った物なのかと神経を尖らせている。表面にウイルスが付着している可能性がある物に対して、恐怖を抱いているのだ。
さらに、使い捨てプラスチックの需要は高まっている。医療従事者が身に着ける防護服や、スーパーマーケットやガソリンスタンド、町なかで人々が装着しているプラスチック製手袋を製造するためだ。
現在のプラスチックが誕生したのは19世紀半ばだ。とはいえ、暮らしのなかで見かけるようになったのは第一次世界大戦後だった。第二次世界大戦が終わると、プラスチックはガラスや木、布の代わりに使われ始め、現在では多様な製品を目にするようになった。そして、ここ数十年で、世界中の人々が公害による環境破壊について意識を高め、使い捨てプラスチックを使うことに反発が起きてきたのはよく理解できる流れだった。
使い捨てペットボトルよりも、中身を詰め替えて繰り返し使える水筒のほうが環境に優しいとされている(当然ながら、水筒の材質としては、人体に取り込まれる可能性がある化学物質ビスフェノールAが入っていないものが推奨されている)。これは、環境のことを考えれば当然のことだ。特に、使い捨てペットボトルが道端や埋め立て地に捨てられていたり、海に漂ったりしていたりすることを思うと、ますます当然のことに思われる。