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2020.06.05 16:30

2070年までに30億人が「サハラ砂漠」級の暑さの中で暮らす懸念


現在、多くの人々は平均温度が11~15℃の地域に住んでいます。平均20~25℃の地域に住んでいる人の数はそれに比べて少ないですが、温室効果ガスの排出量が抑制されずに増え続ければ、2070年までに、人類は産業革命以前より7.5℃暑い気温の中で生活することになる、と研究者らは予測しています。これは、すでに暑い地域での人口増加が最大になると考えられるためです。また、このシナリオで予測されている地球の温度上昇は、わずか3℃余りですが、陸地は海よりもはるかに速いスピードで温暖化するのです。

北米、ヨーロッパ、アジアの大部分は、この変化の影響を最も受けにくいとされていますが、アフリカ、南米、オーストララシアの多くの国は、厳しい状況に直面すると考えられています。干ばつや洪水などの異常気象、凶作と飢饉、疫病や疾病が常態化するかもしれません。それが、二次的な苦難や問題の引き金となる可能性もあります。

過去10年、年間2000万人が気候変動による移住


世界の人口は、今世紀末までに約109億人になると見込まれています。著者らによれば、その頃には年間平均気温が約29℃前後になる地域に35億人が住むことになり、人間の発展の気候エンベロープを大きく逸脱してしまっています。

世界経済フォーラムのグローバルリスク報告書2020で、世界の長期的な課題のうち大半を占めるのは「気候変動とそれに関連する環境問題」です。

慈善団体のオックスファムによると、過去10年間で年間2000万人以上が気候変動に起因する災害により家を追われています。生活環境がより厳しくなり、食料生産が妨げられる中で、大規模な移住が起こる可能性が高まり、移住者が目指す、または通過する受け入れ国の苦悩は増すことになります。

「誰も、できれば移住などしたくないのです。世界の一部の地域では、ある範囲内で局所的に適応できる余地もありますが、グローバル・サウスでは人間開発を急速に押し進める必要があります」と、研究のコーディネーターを務めたワーゲニンゲン大学のマーテン・シェファー教授はエクセター大学の記事で述べています。

さらに彼は「この研究は、影響への適応、社会問題への対処、ガバナンスの構築、開発の強化、そして家屋が影響を受けた人々への温情ある法的経路整備などの、気候変動に取り組むための全体的なアプローチが、すべての人が尊厳をもって生きられる世界を作るために重要である理由を強調しています」とも述べています。


(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Sean Fleming Senior Writer, Formative Content

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