したがって、創業者たちはこれから数か月の間に迅速かつ決定的な変革を実行し、今後の事態に備える必要があります。
これまで経済成長が何年も続き、資金も調達しやすくなる一方だったので、急に考え方を変えるのは難しいかもしれません。しかし、そのような方向転換が今の状況に対応するためには必要なのです。この厳しい時代において、創業者たちは以下の3つのテーマについて検討するべきです。
1. ランウェイを見直す
何よりもまず、資金を新たに調達せずにあと何か月ビジネスを続けられるか、つまり会社の「ランウェイ」を見直す必要があります。具体的には、キャッシュポジションを確認し、それをネットバーンレートで割ります。ネットバーンレートは、馴染みのない方もいるかもしれませんが、会社から毎月減る現金の量を表します(売上 ─ 費用)。
それでは、コロナ・バーンレートを計算してみましょう。コロナ・バーンレートとはつまり、全ての顧客がいなくなり、売上がゼロになるというワーストケース・シナリオにまで低下したバーンレートのことです。
このシナリオでは、ランウェイはどれくらいになりますか?このような試算を行うことで、ワーストケース・シナリオに対する会社の耐久力がわかります。キーエンスは、「17年間売上がゼロでも耐えられる」と就活生たちによくアピールしています。これほど多くなくて良いのは明らかですが、もしコロナ・バーンレートであなたの会社のランウェイが6カ月未満であれば、万が一に備えて資金調達を検討することをおすすめします。
コロナ・バーンレートを把握したら、次は中間のシナリオも検討しましょう。どのような顧客を相手にビジネスを展開していますか? あなたの顧客は新型コロナウイルスの影響をどれくらい受けることが予想されますか?
もし顧客の多くが旅行や飲食、小売関係であれば、あなたの会社の売上もリスクにさらされている可能性が高いので、バーンレートにこのリスクを反映する必要があります。これを機会に、現在の状況でも影響を受けにくい、もしくは恩恵を受けるカテゴリーに顧客基盤を分散するのも良い選択肢かもしれません。
最後に費用について検討し、コストカットできる部分について考えましょう。ほとんどのスタートアップ にとって、最大のコストは人件費と賃料です。後者については、新型コロナウイルスによってリモートワークを余儀なくされたこともあって、現時点では不要な費用になっているケースも多いでしょう。
オフィスを完全に手放すのは現実的ではないかもしれませんが、交渉して契約を見直してもらうことはできないでしょうか? ダウンサイジングは可能ですか? このコストを下げるために、とにかくあらゆる手を尽くすべきです。