一方で、人件費を削るのはとても難しく、あくまでも最終手段としてとっておくべきです。誰かを解雇する前に、まずは全員の給料カットを検討してください。全員の給料を10%カットした場合、何人分の解雇を回避できますか?できるだけのことをしてください。
それでも、最終的には誰かを解雇するほか選択肢がなくなるかもしれません。その場合、長引かせずに一度に全ての解雇を実行することで、社内の士気が下がった状態が長く続かないようにしてください。思いやりをもって実行し、解雇される側の尊厳が傷付けられぬように退職のサポートをしてください。人々の人生が左右される問題ですから、危機の際に社員をどう扱うかで、あなたの会社の真価が問われることになります。
2. 資金調達する
この状況がいつまで続くのかは誰にもわかりません。新型コロナウイルス以前は、一般的な経験則として18か月分の資金を調達できれば十分と考えられていました。しかし、このコロナ時代においては最低でも24か月分を確保することをおすすめします(コロナ・バーンレートではなく、通常のバーンレートをベースに計算)。18か月分あれば、比較的良い状態といえますが、念のためにもう少し資金を増やすことを検討したほうがいいかもしれません。
資金を増やす最も簡単な方法は、既存の投資家に追加でもう少し投資してもらうことです。彼らはすでにあなたの会社をよく知っているので、交渉も早く進むでしょう。また、危機の時期においては、投資家たちは新しい投資先を探すよりも既存の投資先に投資する傾向が強いです。私たちが提供するJ-KISSなどのコンバーティブル・エクイティを活用すれば、この資金調達のプロセスを簡略化し、より早く実行できます。
半年以内に次のラウンドの予定がある場合は、待たずに今すぐ実行した方がいいかもしれません。このような状況では資金調達に通常より時間がかかるだけでなく、全体的なセンチメントが今年の後半にかけてどう変わるかも見通しがつきません。
現在、ベンチャーキャピタリストたちは積極的な投資活動を続けているとツイートしているだけなく、その多くは新しいファンドも立ち上げています。まだ新しい資金があるうちに確保したほうが安全と言えるでしょう。
言うまでもなく、投資家たちは以前より評価額に対してシビアになるでしょう。昨年、私は高すぎるバリュエーションで資金調達することについて記事を書きました。当時は厳しい意見もいただきましたが、このような事態になって、そのときの私の主張は当時よりも説得力を増しています。
高すぎるバリュエーションで資金調達した場合、次の資金調達が難しくなり、前回より低い評価額(ダウンラウンド)や厳しい条件で調達しなければならないかもしれません 。現在資金調達中の方は、今は割安に見えるバリュエーションが半年から1年後には割高になる可能性があることを念頭に置いておいてください。
この不安定な時代においては、よりスピーディーかつシンプルに、適切なバリュエーションで信用できる相手から資金を調達することが特に重要になります。
資金を調達するもう1つの手段は借入です。これにはいくつかの選択肢がありますが、たとえばみずほ銀行や日本政策金融公庫、商工中金、Blue Topazなどが候補としてあげられます。ただし、これらの借入先はどちらかというとリスクを嫌う傾向があり、売上を特に重視するので、その点については留意してください。